書きたい時に、書きたいものを、書きたいだけ。
そんなココマ中心・小松受トリコブログ
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九月は休みが多いから、もうちょっと更新出来るんじゃないかと思っていたんですが、時間があるとそれはそれで怠惰に過ごして九月が終わってしまいました・・・
そして季節がら、暴食の罪も犯しそうな勢いです。
あー、美味しいのが食べたい。
以下はパロココマの続きです。
もう癖で以下ネタバレ注意!とか書きそうになりました(汗)
駄目過ぎる・・・
ココが許してくれているので、最近小松はかなり遅い時間帯まで宿を手伝っている。
そんな小松を気遣ってか、今夜は早めに帰してもらった。
働きすぎたのかもしれない。
いつもよりお腹が減っている。
手遅れになる程ではないが、小松は夜道を急いだ。
「ただいま戻りました~」
挨拶をしても教会に人の気配はない。
「…ココさん?」
明かりもないのである程度予想はしていたが、寝室にもキッチンにも礼拝堂にもいない。
風呂にもおらず、どこも暗いままだ。
ココの晩ご飯用にと置いてあったグルメケースもなかった。
どこか遠出しているのだろうか。
昼は何も言ってなかったから、小松が戻る前には帰ってくるつもりだったのかもしれない。
何か不測の事態が起きたのか。
急に不安になってくる。
いつもココは出かける時は常に小松に知らせてくれていた。
すれ違う時はキッチンに遅くなるとのメモ用紙があるが、今日はそれもない。
あまり動かないようにしていれば自分の腹具合は大丈夫だが、ココは一体どこへ行ったのだろう?
探しに行った方が良いだろうか?
けれど探しに行ったが故に今小松はココに世話になっている。
同じ轍を踏めばココは呆れてしまうだろう。
何より今以上ココに迷惑をかけれない。
だが探しに行かないで、本当にココに何かあったのならどうしよう?
村をココが出歩けば、必ずどこかで誰かの口に上る。
酒屋にいれば、またウチのかみさんが~と”今日の神父様”の話に辟易して逃げてくる男もいるくらいなのだ。
教会から行く場所など、村を除けば一つしかない。
けれど、森は立ち入り禁止なのはココに伝えた筈。
しかもこんな夜中に森に行くなど、立ち入り禁止でなくても自殺行為だ・・・とは、己が身にしみて体験したから言える事でもあるが。
茂松や村長に相談した方が良いだろうか?
しかし幼子ならともかく、大の大人が日付も変わらない内の夜に帰って来ないと相談するのも・・・・
だって何時も小松が仕事から戻る時間の方がずっと遅いくらいなのだ。
いつも迎えてくれるココが居ないというだけで相談というのは気をもみ過ぎているだろうか?
「うぅ~・・・」
人に頼らず自分で出来る事が少なすぎて、小松は頭を抱えた。
ココには世話になってばかりで、自分がココに出来る事が料理以外に思いつかない。
しかしそれは日常で、こんな不測の事態には何ら役に立たないものだ。
「ううう~・・・」
自分の役立たずっぷりに頭を掻き毟る。
心配のあまり心臓の辺りまでシクシクと痛み出してくる。
思わず小松はしゃがみ込んだ。
キシッ廊下が軋む音で小松は顔を上げた。
「・・・・小松くん?帰ってるの?」
遠くからココの声に小松はパッと立ち上がった。
「ココさんっ!!」
ばふっ
キッチンの扉を開ければすぐ傍にココがいて、迷わずに飛び込んだ。
相変わらずココの身体は揺らぐ事なく、小松を受け止めてくれる。
「ふふ、どうしたの甘えん坊さん?」
ぐりぐりと顔を押し付けられてくすぐったいのか、ココの腹が震えた。
「・・・だって、帰ったらココさんが居ないから、何処に行っちゃったのかと思って」
小松を受け止めたまま頭を撫でてくれるココに安心して、小松は自分の不安をぶつけた。
「寂しかったのかい?」
「さ、寂しかったって言うか、いつもは出かける時はメモを残してくれてるのに、今日はないし、寝室にもお風呂にもいないしっ」
言っている間に何だか恥ずかしくなってきて、小松は顔を上げれずギュッとココの服を握った。
確かに自分は寂しかったのかもしれない。
帰ったら、ココが居なくて不安だったのは、ココの身を案じたからではなく、ただ単純に自分が寂しかっただけなのだろうか?
それを思えば自分勝手な都合に辟易したくなるが、ココは相変わらず小松の頭を撫でてくれている。
許されている気がして、小松はジッとココの掌の感触を楽しんだ。
「ごめんね、小松くん。けれど、執務室の方もちゃんと見てくれたかい?」
「真っ暗でしたよ?」
ココの執務室は代々の司祭様も使っていた資料室と同じだ。
中には貴重な文献もあるらしいので、前の司祭様から滅多な事では足を踏み入れないようにと言い遣っていた。
小松が勝手に片づける事により、場所が分からなくなってしまったら困ると言うのだ。
その頃の癖が抜けていない為、小松はココの執務室には入らない。
けれどドアには小さな擦りガラスが付いているので、そこから漏れる明かりで使用者が居るかどうか判断する事が出来る。
小松が見る限り、執務室も含めて全ての場所に明かりは無かった。
強いて言えば、礼拝堂の祭壇に必要最小限の明かりが灯してあるくらいだ。
「ごめんね。どうやら明るいうちに転寝してしまったようで、気づくと真っ暗だったんだ」
「ココさんが転寝・・・?」
「はは・・・」
思わず顔を上げれば、照れくさそうにココが頬を掻いている。
「だから、今度からはちゃんと部屋の中まで確認しておいで?」
そう言ってココは執務室に入る許可まで与えてくれた。
「はい、ボクの確認不足でした。ごめんなさい」
そう言って、小松はココから離れた。
「でもココさん、家に居るなら、せめて食事は執務室じゃなく、ダイニングの方で食べて下さいね?」
「あぁ、そうだね。次からはそうするよ」
そう言ってココは肩にかけていたグルメケースを降ろす。
「ボクはケース洗っちゃうんで、ココさんは先にお風呂に入ってきて下さい」
「そうかい?ありがとう」
ココはそう言ってキッチンを後にした。
受け取ったグルメケースを、シンクに降ろす。
ああは言ったが、小松はおそらくこれからも執務室に足を踏み入れる事はないだろう。
抱きついたココからした土埃の匂い。
気のせいかと思った。
けれど俯いていた時に見下ろしたココのつま先は白く染まっていた。
黒い靴だけにそれが目立つ。
ココだって忙しいのだ。
小松にばかり構っていられないだろうし、何より小松に自分の行動全てを話さなくてはいけない訳でもない。
それでも、どこか拗ねたような気持ちになってしまうのも確か。
僅かに感じる嘘の匂いを土埃と一緒に早く洗い流して、早く小松の知る神父のココに戻って欲しい。
そう思い、小松は何故か底がザラついたグルメケースを念入りに洗い始めた。
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