[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
カソックはカソックでも、見習い修道士のようなシンプルなのが良いよね♪
装飾華美なゴテゴテギラギラはサニーのが似合うと思います。
そんな訳でココのパロSS・・・の、さわり。
小松出てきませんでした・・・
…ふぅ。
ひと段落つき、ココはようやく掃除の手を止めた。
湿り気を帯びたクッションを干し、シーツを洗濯する。
最低限はなされていたものの、やはり使用者がいない住処は荒れる。
隅に薄く積もった埃を掃き、固く絞った布でテーブルを、椅子を、床を磨き上げる。
初めて赴任した先の教会でココがした仕事と言えば、このくらいのものだ。
夕方には近く ---と言っても15分は歩くが --- の主婦が晩ご飯にと差し入れを持ってきてくれた。
随分と顔を赤らめ逆上せあがった顔をしていたが、ココは特に頓着する事はなかった。
ただ、このような小さな村でも毎日用もなく来るだろう自称信者が増えるだろう事は想像に堅くないと感じただけだ。
新しい司祭の存在はすぐ村中に広まるだろう。
いや、既に日用品や食料などの買い物を済ませたので、噂になっているかもしれない。
何せ珍しいものなど何もなさそうな平和で小さな村だ。
一応軽く挨拶は済ませたが、正式な村長への挨拶は明日の朝と決まっている。
きっと村長以外の村人もそこに集まっているだろう。
村の小さな教会とは言え、教会とその奥にある住居スペースを掃除すれば、すっかり日も沈んでしまった。
今日のところは特にする事もない。
家の中の把握は済んでいるので、教会の周りも少し見てみるか、とココは教会を出た。
日が沈めば、街頭もない小さな村は外出する者もおらず静まり返る。
遠くに見える明かりは、民家の窓から漏れるものだろう。
周囲に何もない事もあり教会の周りは更に真っ暗だが、特別製の目を持つココには特にどうという事もない。
日が傾いていたのを知りつつも視界はしっかり確保されているので、教会内で掃除していた時も明かりもつけずにいたくらいだ。
少しだけ、と灯りも持たずに木々の間を歩く。
昼間は木漏れ日が差し、夏は熱い日差しを和らげ、冬は木枯らしを遮ってくれる心地よい空間だが、夜中は少し不気味だ。
安らかな木々のざわめきさえ、何かが潜んでいるような、何とも言えない薄気味悪さがある。
風の音、虫の音、動物の吐息。
自然に囲まれている現状は、昔の環境を思い出す。
------・・・し!!!
同時に嫌な記憶まで蘇ってしまい、ココは眉根を寄せてかぶりを振った。
そう簡単には忘れられないらしい。
村の外れの方に位置する教会は、ココの足で東へ10分も歩けば村の外に出てしまう。
そこからは森が広がっているだけ。
それは来たときに分かっていたのだが、何か胸騒ぎがする。
村の中心に向かおうとしていたココは、嫌な予感を胸に180度方向を変え、東へと歩き出した。
ココが把握している通り、すぐに村の最東端へ着く。
何もない。
ただ、森の木が月明かりを遮り、闇を作り出しているだけだ・・・
赴任する前に見た資料でも、この村は数十年は何の問題もなく、それゆえ話題性も乏しい存在感の薄い村だった。
首都より遠く、近場に他の村もない。
取り立てて特産物や産業がある訳でもなく、時折来る行商人から必要なものを購入し、他は自給自足で貧しくその日暮らしをしている。
今までいた司祭が老衰で死に、他に誰もいなくなったので要請がきた。
ココが行かなければ、今もこの教会は無人だったかもしれない。
そうだ。
そんな、つまらない村に事件性などある訳がない。
むしろ未だ年若い自分が来た事こそ大事件ではないだろうか。
だから自分の嫌な予感など気のせいだ。
そう思いたい。
だが、ココの勘はそう言ってはくれなかった。
緊張した面持ちで一歩、村から森へ踏み出す。
ヴァッ
空気が、変わった。
重苦しいくらいの圧迫感。
思わずたたらを踏みそうになる。
振り返れば、村と森の境目の柵に呪印の徴。
彫り込まれたそれが結界の役割をしていたのだと知る。
良くないものを村に入れないように、としばしばある事だが、それにしたってこれ程の空気の違いはない。
そう・・・これは魔物の気配。
今は昼来た時とは別の森のような雰囲気を醸し出している。
近くに・・・いる。
ピリピリと肌を焼くような威圧感を感じた。
肺から入る空気が鉛のように重い。
だが、ココにとっては懐かしい空気だ。
平和な村には酷くそぐわない。
しかしこれほどのプレッシャーはアレ以外あり得ない。
数いる化物の中でも、最も忌み嫌われるモンスター。
昔のことなど思い出したくもないし、普段から出さないようにしていたが、今はそれが必要だ。
感覚を研ぎ澄ませて耳を澄ませ、目を凝らす。
ガサッ!ガサガサッ!
野生動物ではない乱れた足取り。
----た、助けて・・・!誰かっ・・・!
通常では聞き逃しそうな遠い場所での掠れた悲鳴。
ココはすぐにそちらへ向かって駆け出した。
* * *
つづく。
所詮は吸血鬼パロ。