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拍手パチパチありがとうございますー。
順調に日々炬燵寝の日が増えていってます。
もうすぐクリスマスですが、何も準備してません・・・
ココマクリスマス更新が果たしてあるのかどうか(汗)
とりあえず明日は癒しを求めてヘッドスパと、友達とご飯してきます。
クリスマス会のプレゼントを買いに行かなきゃ!
オタクにハイセンスな物を期待しちゃ駄目だよ。
・・・と言ってしまいたい。
以下はココマパロの続きです。
皆内股のトリコが好きなの?(←違うだろ)と思いつつ・・・・
ぽかぽかと温かく、ふわふわと良い匂いに包まれて、小松は顔をすり付けた。
一昨日の夜から働いて、働いて働いて働いて気付くとまだ夜だった。
いや、丸一日経っていた。
最初は稀に見ない大柄な人だから沢山食べそうだと言う連絡をもらい、気合いを入れて多めに料理を作った。
おかわりが必要そうだと伝えられ、嬉しくて軽めのものを何品か追加したら、使用人に困った顔をされた。
曰く、もっと胃にたまりやすいものの方が良いんじゃないか、と。
歓迎用に元々多めに準備していたつもりだ。
今更そんな必要があるだろうかと、追加の料理を持っていく使用人にコッソリ付いていく。
扉の隙間からそっと中の様子を伺った。
村長が冷や汗をかいているのが見える。
後ろ姿だけでも分かる小松の予想を越えた大柄さと、積み上がった皿にあっけにとられている間に何と追加の料理が全て消えた。
「うめーっ!」と言う叫びは料理する者として冥利に尽きると言って良いだろう。
皿を下げてきた使用人が肩を竦める。
”な?”とでも言いたそうな顔なのは、後ろでその来客が”もうねーのか”とか”もっとくれよ”と子供のように言っているからだ。
「…分かりました」
こうなると俄然小松のやる気にも火が点いた。
絶対あの人を満足させてやる!といっそ今からディナーの準備のつもりで次々と料理を手懸けていった。
重い肉料理を中心に、しかし食べ合わせやバランスを考えて。
一昨日はその客人が就寝した為に一旦終了した。
村長が無理やり切り上げさせた感じだったそうだ。
そう聞けば小松としてはその客人が満足したかどうか分からなかった為、満足させるのは翌朝になってしまうな、と思った瞬間でもある。
そして小松の夜はここから始まった。
既に夜も更けているが、客人が食べ終わったからと言って小松の仕事は終わらない。
まずは下げられてきた大量の食器を洗う。
村長の家にある皿全てを使っても足りなかった為、近所の人の家からも食器を借りてきているくらい大量だった。
皿を洗う人手すら惜しい。
そんなハイスピードで作り続けたので、他の使用人達も既に疲労困憊。
ある程度手伝ってもらった後は、小松が一人で残りの皿や鍋を洗った。
キッチンがようやく片付いたので、そこから明日の朝食の下ごしらえに入る。
夜にあれだけの量を食べたのだから、朝食はあまり入らないんじゃないか、なんて怪訝は微塵もなかった。
足りないだなんて言わせない!
むしろ沢山食べて満足してもらいたい。
ようやく納得出来るくらいの準備を終えた小松は、村長の家に泊まらせてもらい仮眠を取った。
事前に今日の事は宿屋とココには言っておいたから、顔を出さずとも問題はないだろう。
起きるのは2時間後だ。
日の出と共に起きて準備を開始したい。
十分な睡眠とは言えないが、幸い小松は多少の無理は利く身体になっている。
昨日補給させてもらって良かった・・・なんてほんのりと頬を染めながら小松は眠りについた。
そして、再び小松の戦いは始まった。
朝から作って作って丸一日作り続けたと言って良い。
朝食が終わってから片づけをして昼の準備、昼を作ってから片づけをして夜の準備。
ひと時も休む暇などなかった。
結果。
村の備蓄していた食糧庫が空になった。
物理的に調理不可能の状況に陥り、小松はそれを告げる為に初めて客人の前に姿を現した。
「ふぅー。予想以上に美味かったから長居しちまって悪いな」
笑顔ではあったが料理を出せばまだ食べそうだと言うのが小松の感想だった。
つまり、小松はお腹いっぱいには出来なかったという事になる。
胃袋の大きさに驚くより先に、小松は来客を満足させれなかった事が悔しかった。
食材さえあればもっと作り続けられるのに!
食糧庫の話をすると、村長の顔色が青くなった。
だが客人にとっては慣れっこなのか、近日中には食糧庫を満たすと約束した。
どうやって、までは教えてくれなかったが。
いや、教えてくれる前に帰ってしまったというのが正しいだろう。
小松が現れて話している途中で客人はさっさと村長の家を出ていってしまったのだから。
何か悪い事を言ってしまったか、とオロオロ視線を彷徨わせる小松に、使用人たちはむしろ万歳三唱を送った。
気が抜けてふらりと身体が傾ぐ。
気づけば随分と疲れていた。
提供するばかりで休憩していないばかりか、朝食も昼食も晩すら食べていないんじゃないか!?と使用人達に言われ。
しかし既に村長の家に食糧は一切ない。
つい跡先考えずに作り続けてしまったのは小松なので、仕方のない事ではあるのだが。
そう言えば一日だけのつもりだったので、今日はココにも宿屋の方へも連絡出来なかった・・・と今更ながらに気付く。
宿の方には連絡しておくと言われ、帰ることを勧められた。
じゃあお先に失礼させていただきます、と言って村長の家を辞した事までは覚えている。
今小松が感じるのは、慣れたベッドの柔らかい感触。
無事ココの元に戻れたようで安心する。
おまけにあれだけ空腹だったのに、今は何でもない。
そして何より気持ち良い。
いつまでも惰眠を貪っていたいと思うくらいには。
昨日が忙しかったからか、ぐっすり眠れた。
久方ぶりの心地よい深い眠り。
このままずっとこうしていたいが、そうもいかない。
名残惜しくてぐりぐりと額を擦り付けていると、何故かそれが小刻みに震えだした。
「あれ…?」
疑問に思って顔を上げる。
そこには毎日見ているはずの、だが決して見慣れられない美形の姿。
「おはよう、小松くん」
くすぐったそうにココが言った。
「にゃーーー!」
「うっ」
「ぐぁっ!」
予想していたのに寝起きにはキツかった人間と、唐突な破壊的叫びにダメージを受けながらも飛び起きた人間。
「相変わらずだね…」
当然心構えある方が早く我に返った。
「だっだって!どうしてココさんがベッドで寝てるんですかっ!」
「昨日は寝床を取られちゃったからね」
「だったら場所を変わりますから言って下さいっ!そんなにくっついて寝ている間にボクに噛まれちゃったりしたらどうするんですかっ!」
青くなってココを心配する小松の必死な表情に、頬を緩める。
「うーん、くっついてきたのは小松くんの方だけど…そうしたら僕が失血死する前に小松くんが死んじゃうんじゃないかな?」
「あ、そっか…」
あれ?じゃあ良いのかな?なんて頭を捻る小松を見ながら後ろに向かって告げる。
「…トリコ、大丈夫だから押さえろ」
何の攻撃かと警戒しながら周りに向けてビシビシ殺気を放つトリコのせいで、さっきから首筋がチリチリ焼け付くように痛い。
生憎それだけ警戒させた元凶は気付いていないでのほほんとしているが。
「トリコ…?」
どこかで聞いた名だと思って顔をあげれば、何と自分のせいで帰ってしまったとばかり思っていた客人がいる。
「あーーーっ!昨日のっ!」
「うるせっ。もうちょっとお淑やかに驚けねーのか」
「すみません・・・」
耳を塞いでいても鼓膜を震わせる声に辟易しながらそう言えば、トーンを落として謝られた。
素直に出られると怒り続けるのも大人気ない。
ココが警戒しないので、トリコも言われてすぐ戦闘態勢は解いている。
それにしても今更気付いたのか、と呆れてしまう。
嫌でも目につきやすいトリコを視界に入れないなんて、なかなかの大物か余程注意力散漫だ。
「あぁ、良い・・・」
先程の大音声はただの地声だと理解した。
昨日は疲れていたのか、それとも感情の振れ幅によって声の大きさも変わるのか。
何にしても起き抜けにはキツい一撃だった。
ふと気付けばココがジト目でこちらを見ている。
「僕には謝ってくれるんだろうな?」
「はぁ?」
何故俺が、と返す前にココの視線に促されて後ろを向けば、勢い良く跳ね起きた衝撃か、はたまた最初からトリコの体重は許容量を越えていたのか、さっきまで寝ていたリクライニングチェアは大破していた…
「悪いっ!」
「いいや。前以上に座り心地の良い椅子を弁償してもらえれば文句なんて言わないさ」
にこりと口元だけで笑って答えるココの要求は決してレベルの低いものではない。
「・・・善処するけど、時間をくれ」
弁償は高くつきそうだ。