[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
夏は忙しいですよ!
エクステだけじゃない!
夏コミにバーベキューにプールに花火に温泉!
九月の旅行の予定だって立てちゃうぞ!
インテには行けないけど・・・グッコミは・・体力次第で行けるかなぁ?
ちょっと遊びすぎな気もしつつ、テンション上げてココマパロの続きをば。
・・・九月中に起承転結の承の部分くらいは終わりたいな・・・(え)
ココに手を取られ、広場を歩く。
「どうかしたかい?」
「…いえ、何でもありません」
何でもないどころか周囲の視線が痛い。
けど手をつないでいるというよりは、ココに手を引かれているという状態なので、周りも口では何も言えないようだ。
いや、口では言わない分も目で訴えかけてきているので、小松はもう心臓がキリキリ引き絞られそうだ。
しかし珍しい食材に惹かれあっと言う間にココの元を離れた小松は、今回ばかりは何も言えない。
行商人とその食材の調理法について話していると、気付くとココは傍におらず、遠くから小松を探す声が聞こえる。
「・・・あっ!」
気付いた時には遅かったのだった。
ココも何か買い物を終えたらしい。
紙袋を片手に小松の元に近寄る。
調理したいのかと聞かれて思わず頷いたら、ココはじゃあそれを、とあっさり購入を決めた。
結構値のはるものなのに、頓着しないらしい…とは言え倍ソンを買える財力があるならたかがしれた出費かもしれないが。
それ以降はココと小松はずっと手を繋いで広場を歩いている。
この視線の中で小松はココの手を握り返すなんて事は出来ないが、ココの方は平然と小松の手を握っている。
嫉妬の視線を一身に浴びるのは小松だからか、ココは普段から皆の視線に慣れているのか・・・あるいは両方かもしれない。
「あ!ココさん、あっち行きましょう!」
香辛料の類が置いてある店を見つけた小松は、さっきまでの居心地の悪さをスッパリ忘れてココの手を引いた。
手を繋いでなければ、またあっという間にココの存在を忘れて店に駆けて行ったかもしれない。
さっきまでの微妙な顔は何処へやら。
それくらい思い切りの良い笑顔だった。
「・・・全く。これだから君からは目が離せないんだ」
小松に手を引かれながら、ココは苦笑と共に呟いた。
二人は様々な店を見て歩いた。
「あ、ちょっと待って」
衣服を売っている露店でココがふと足を止め、白いマントを手に取る。
「兄ちゃん、目が高いね!それ、丈夫で良い布使ってるよ」
行商人が声をかける。
バサリと広げると、ココは己の身体に巻き付けた。
かなり大き目のものだから小松が付けると引きずるようになってしまうだろうが、ココにはちょうど良さそうだ。
生成りの柔らかい色合いは、ココの雰囲気によく似合う。
小松は思わずほぅっと見惚れてしまった。
そんな小松を横目にココは行商人に告げる。
「手触りも良いね。うん、気に入った。買わせてもらうよ」
何と値段を聞きもせず購入を決めてしまった。
こういった露店は普通値段を聞いて、場合によっては値段の交渉に入るのがセオリーだ。
ふっかけられたらどうするつもりなのか。
思わずむむむっとした表情で行商人を見る。
「あれ・・・?君、宿屋の子だよな?」
「え?」
小松の顔を見て行商人が尋ねる。
どうやら以前この村に来て、宿にも泊まった事があるらしい。
その時に顔を覚えられていたようだ。
「また美味いメシ期待してるぜ?」
嬉しい事を言ってくれる。
「はいっ!任せて下さい!」
今日は腕を振るおう、と小松は心に決めた。
「君の知り合いなら、五万で良いよ。ついでにこのターバンもサービスだ!」
「そうかい?気前が良いね。ありがとう」
さらりと流すココだが、小松にとってはそれでもかなりの高値だ。
小松は洋服の一部にそこまでかけれない。
「小松くんにはこれなんてどう?」
そう言って同じように手触りが良く、花で染めたのか薄いピンクのシャツを勧めてくる。
上等そうなそれは値段を聞こうとすら思わない。
それにその配色は少し自分には可愛らしすぎる。
「遠慮します…」
小松にはそう言うのが精一杯だった。
ココと店を見て回るのは楽しい。
「小松くんは何か欲しい物はないのかい?」
「もうココさんに買ってもらいましたよ?」
片手にある食材を持ち上げる。
結局調味料も買ってもらった。
これをどう料理しようかと思うとそれだけでテンションが上がる。
自分で払おうとしたのに、ココが払ってしまったものだ。
僕の口に入るものだから、と言われてしぶしぶ納得した。
「うーん、そうじゃなくて…」
困ったなぁ・・・なんて呟かれても、何に困っているのか分からない。
「あ…」
「ん?」
小松が声を上げたのは、アクセサリーショップだ。
「これ、きっとココさんのピアスと同じ色ですよ!」
小松が手に取ったのは、かなり濃いピンク色をした英文字のバッジだ。
「ほら、やっぱり!」
そう言って手にしたバッジを耳元に近づけてくる。
「・・・ってココさんの耳に近づけてもココさんには分からないですね」
気づいて慌ててココに見えるような位置に戻す。
「・・・欲しいの?」
小松は装飾品の類には興味がないと思っていたココは尋ねてみる。
なんだかんだで食材に関するもの以外は小松は興味を示さなかったので、ココも何を買い与えて良いのか分からなかったのだ。
一応一つは買い求めてみたものの、それだって食事に関するものに変わりはない。
「あ、いや・・・その、ココさんに似合うかなって・・・あ、でもこの色だと、Pしかない・・・」
「良いんじゃない?プリーストのPって事で。これお願いします」
ココはその濃いピンク色のPのバッヂと、更に同じ種類の薄いピンクのCのバッヂを手に取った。
行商人が包もうとしたので、ココは手を振ってそれを断った。
「はい、これは小松くんに」
「え?」
Cのバッヂをココは手渡してくる。
思わず手を出して受け取ってしまった。
「あの・・・?」
「これはいつも僕にご飯を作ってくる君へのお礼だよ。大したものじゃないけど」
けれど、大したものじゃないからこそ受け取りやすいのではないかとも踏んだ。
さっきの洋服等はろくに目を向けることもしないで断られてしまったのだ。
小松が料理以外で興味を引いた初めての物だ。
「でもココさんには既に沢山買ってもらってますし・・・」
「それは僕の口に入るものだからって言ったよね?僕が美味しく食べる為の買い物だよ。それにこんなピンクの可愛らしいバッヂを一人で付けるなんてちょっと恥ずかしいだろう?」
「え・・・あ、すみません、つい・・・!ココさんに似合うと思って・・・」
「うん。だから一緒につけよう?」
「ボクも、ですか?」
「さしずめ小松くんはコックのCかなって。少し色みは違うけど、同じピンクなら恥ずかしくないね」
「・・・そうですね、恥ずかしくありません」
にこにこと頬笑みあう。
小松が大人しくバッヂを受け取ってくれた事に、ココは安堵していた。
「・・・そろそろ戻ろうか」
買いこんでしまった荷物は、小松には重いだろう。
ココもかさばるマント等を購入してしまった。
「そうですね。もう一通りは見て回りましたしね」
そうして二人は帰途に就く。
「こんなに大掛かりな行商人が来るなら、来月も楽しみだな」
「あは・・・残念ながら毎回こんな規模ではないですけど・・・」
楽しそうに笑いながら帰る二人の手は、人ごみを抜けても始終繋がれたままだった。
マーキングココ。
CがココのCである事は言うまでもなく。