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親子丼を作るつもりが、ウッカリ豚肉を解凍してしまいまして、まぁ、良いかと他人丼になりました。
牛丼は牛丼なのに、鶏丼とか豚丼じゃなく、親子丼、他人丼と表記するのは何故?
まぁ、鶏と卵は親子丼で納得するとして。
鶏にとって、豚を他人と言いきるのに、牛は他人になりきれない何かがあるのか・・・!?
鶏=茂松 卵=小松 牛=トリコ 豚=ココみたいな!
・・・ココさん、ごめんなさい。
・・・・ん?
牛丼って卵使ってないんだっけ?
でも、牛とじ丼、ありますよね?
豚とじ丼ってあんまり言わないですよね。
以下はココマパロの続きです。
前回短めだった分、今回長め。
ブチっ
くっちゃくっちゃ
肉を食い千切り、咀嚼する音。
あまり品を感じさせないそれに、ココは眉を顰める。
気付いてない訳ではなかろうに、トリコは無視して世間話のように小松に話しかけた。
「なぁ、お前さぁ」
「はい?」
「いや、お前の親って仲良かったか・・・?」
「え?はぁ・・・まぁ、それなりに。普通じゃないですかね?どうしてそんな事聞くんですか?」
「んー・・・こう、両親がベタ甘で人前でも平気でキスするとかそんな事は・・・・」
「いえ、鍛冶屋の父は厳格な人で仕事場に母を入れる事もありませんでしたし、仲は悪くないですけど流石にそこまででは・・・」
「じゃー、お前、実は挨拶で誰にでもキスしちまうとか・・・」
「しませんよ、そんな事!」
それを聞いてココは、トリコがまだ小松を夢魔と疑っているのだろうと察する。
半端な吸血衝動しか見ていないのだから、日中にこのように出歩いていて訝しむのも当然だろう。
だが夢魔も夢を介する為、昼間に闊歩する事など殆どないのだが。
猛獣は別だが、基本的に鬼や魔も含まれるモンスターと呼ばれる種別は日光を嫌う。
吸血鬼のように完全に受け付けなくなる程ではないが、そうそう日中に出くわす事はない。
だが、絶対に出歩けないという程でもないモンスターも存在する。
夢魔はその一種だ。
吸血鬼に血を吸われて吸血鬼になったのではなく、最初から小松が夢魔だったなら?
自覚がなかったなら?
自覚がないまま育っていたとしたら、小松は親から精気を貰って生きていた筈。
しかしその様子もなく、普段から挨拶変わりにキスすらするような人間でもないなら、両親と死別し、ココと出会う前の五年間は飲まず食わずという事になる。
流石にそれはあり得ないだろう。
「ぁっ・・・・・えー・・・う、いや・・・」
「あん?」
何か言い淀み、言葉に詰まる小松に目を向ける。
まさか精気の心当たりがあるのだろうか?
子供のようでいて、実は両親の死後、付き合っている女性が絶えた事がないとか?
二十歳を超えていればそれもあり得ぬ可能性ではない。
思わずトリコはココと視線を交わした。
「その・・・ココさんとは、別ですけど・・・」
小さく告げられたその声に、ぶはっとトリコは噴出した。
「そんな話してねーよ!!」
思わずツッコミが入ったのも仕方ないだろう。
「あ、あ、そ、そうですよねっ。ボクの両親の話でしたもんねっ!!」
慌てて小松が言い訳する。
そんな小松を可愛いなぁ、と思う余裕はココには無かった。
しかしその染まった頬を見る者はおらず。
ゆっくりとココは己の心を静める。
「トリコ、その辺にしろ。小松くんが困ってるだろう」
未だ頬を染めて謝っている小松を止める。
「少しばかり変わってしまったけれど、ちゃんと人間だよ」
「ココさん・・・」
小松は感動で目を潤ませた。
身体は一部変わってしまったが、性格まで変わってしまった訳じゃない。
小松が小松である限り、ココは小松を村の仲間として扱ってくれる。
いや、むしろそれ以上に気を使ってくれている。
「なんだよ、確認しただけだろ?」
本気で夢魔だったらどうするつもりだ、とトリコは言ってのけた。
この辺り、トリコは根っからのハンターだ。
考えうる可能性は全て確認して潰しておくに限る。
先ほどの洞窟で引いた事の方が特殊な例なのだ。
プロ意識が高いと言われればそれまでなのだろうが・・・ココは深くため息を吐く。
「全く・・・大体こんなキス慣れしてない小松くんが夢魔な訳がないだろう?」
「んなっ・・・!!」
カッと小松の頬が染まる。
ココは小松が最初にキスをしてきた時の事を覚えている。
あの時の反応は随分と初心だった。
あれが普段から挨拶でキス慣れしている者の反応とは・・・あまつ一度でも性交を持った事があるようには到底思えない。
トリコが確認するまでもなく、ココには最初から排除されている可能性だったのだ。
「まー、お前がそう言うならそうなんだろうけど・・・小松?」
俯いてぷるぷると震えている小松に声をかける。
「どうしたんだい、小松くん?」
トリコに言われ、ココは小松を覗きこんだ。
「ココさんなんて知りませんっ!」
「えっ?」
ぷいっと小松はそっぽを向いた。
どうやら怒っているらしい。
そう見当をつけるが、ココは何が小松を怒らせたのかは分からない。
キスに慣れていないなど、明らかに人に話す内容ではない。
確かに正論かもしれないが、実際の年齢を知られ、同い年らしいトリコにそうと話されると小松の沽券に関わる。
同じ男として悔しい。
既にトリコの前で”食事”してしまったので今更なのかもしれないが、なんでもかんでも話さないでほしいものだ。
恥ずかしいし、居たたまれない気分になる。
ココのトリコへの遠慮のない物言いを聞いていれば親しい仲なのだと察する事は出来るが、それにしたって恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「ごめんね、小松くん。怒ったのかい?」
けれど眉を下げて謝られれば、小松はもう許すしかない。
「お、怒ってない、です・・・けど・・・」
ぼそぼそと告げる小松にホッと胸を撫で下ろすココ。
「そう、良かった」
ココは小松に近寄ると、ちゅ、と唇を落とした。
「ココさんっ!!」
真っ赤になって叫ぶが、ココはどこ吹く風といった感じだ。
普段、村人の前ではココはそんな事はしない。
目の前にいるのがトリコという既知であるからなのかもしれないが、小松はトリコとは知り合ったばかりなのだ。
人は選んでいるのかもしれないが、そもそも人前でそういう事をしないで欲しい。
一方のトリコはそんな二人を面白そうに眺めていた。
キスの時間自体は短いものの、こまめにココの言う”補給”を小松にさせているのだと気づいてはいる。
当然、それが本当に栄養源になっていればの話だが。
「血液以外の体液で生きる吸血鬼か・・・面白れぇな」
ココが言うからには間違いはないのだろうが、未だトリコは半信半疑でもある。
何せ前例がないのだ。
少なくともトリコは血液ではなく唾液や精液が吸血鬼の栄養になるだなんて聞いた事もない。
「そこまで許してんなら、いっそセックスでもしちまえば良いんじゃねぇ?」
軽い気持ちの一言だったのだろう。
実際、トリコはニヤニヤして言い放った。
「何言っちゃってんですかぁ!!」
当然、小松は顔を真っ赤にして肩を怒らせながら叫んだ。
「何キモいこと言ってんですかっ!嫌ですよ、そんなの!」
とんでもない事を言われ、思わず叫ぶ。
冗談ではない。
ただでさえココには無理を言って迷惑をかけているのだ。
男同士でそんな事が出来るはずがない!
だが、ココの反応は違った。
「――ふむ・・・そうだな・・・小松君さえ良ければ、やってみようか」
「ココさぁん!?」
まさかココがそんな言葉を真に受けるとは思わなかった。
「本気か、ココ?」
言った筈のトリコすら、目を見開いた。
しかしココは冗談を言うつもりはないらしい。
いや、もともと冗談など軽々しく口にするような性格ではないのであるが・・・
「考えてみれば、限界に来ていたんだと思うんだ。
小松君が生きていく為には、血液が最も効率が良いと思う。
けれど吸血をしないで生きていく為には、毎日一時間唾液の摂取、そして時々はそれで追いつかなくて他の体液でも補ってる」
「体液っつーか精液な」
身も蓋もなく突っ込みが入る。
「そうだ。そして小松君の消耗が激しい時、無意識に欲しがるのは唾液より精液だから、やはり濃い方が栄養になるんだと思う」
「あ・・・あ、う・・・」
この人達は何でこんなとんでもない事を恥ずかしげもなく言ってしまえるのか。
小松にはこの二人の感覚が分からない。
やはりハンターや神父は一般人とは違うのだろうか?
「牙に穴でも開いていて、そこから直接体内に取り込めるなら話は別なんだけど、結局血液にしろ唾液や精液にしろ飲んでいるだろう?」
居たたまれない心地でいる小松に視線を向けた。
問われてるのだと分かって、何とか頷く。
「は、はい・・・」
自分の牙など良く見た事はないが、今まで普通に飲み込んで生きていたのだから、牙に穴が開いているというような事はないだろう。
こういう話題を人の前でしてほしくないのだが、ココは食事の話でもするように続ける。
実際、小松の食事の話ではあるのだが。
「飲むという事は胃で消化され、細かく分解されたものが腸に入り養分を吸収されていく訳だけれども、
抗体の成分など胃酸で死滅してしまう栄養源も多いと思うんだ。
だが腸壁からの直接吸収なら、胃酸で分解され無効になる成分がない訳だから、より効率良く摂取出来るかもしれない。
分子が大きいと吸収できない可能性もあるし、人なら消化吸収能力が低いとお腹を壊す可能性もあるけど、君は違うから」
人の体液を生きる糧とする吸血鬼なら、何処から摂取してもその体液を取り込もうとするだろう。
そしてその吸収効率からすれば、胃酸で分解されない方がより効率が良い、という予測らしい。
ココの主張は小松に初めてキスをした時のように客観的な見解だ。
吸収できる保証はないが、試してみる価値はあるといったところだろう。
ココの言うことは良く分かった。
分かったが、敢えて小松はココをマジマジと見た。
「――本気で言ってるんですか?」
そして言われたココの方も意外な事を言われた、と軽く眼を見開いている。
「どうしてだい?もしそれで今までより効率が上がるなら、毎日キスをする必要もなくなるだろう?」
忙しい時に飢えずに済む、とココは続けたが、小松はココの言う事の後半はもう耳に入らなくなっていた。
確かに血液の摂取までとはいかなくても、もっと制約なく生きていく事が出来るなら、それに越したことはないだろう。
ココは小松の事を考えていてくれる。
それは、分かる。
けれど、それ以上に小松がココの時間を束縛しているのだ、と思い知らされた。
毎日キスする必要がなくなる。
確かに小松は人の血を飲まないで生きていく為に、ココに毎日頼らざるを得なかった。
けれど本来ココには小松にそんな事をする理由はない。
まして、毎日小松の為に時間を割く理由など。
そう突き放されたようだった。
もちろん対価は払っている。
ココへの食事、教会の手伝いなど、小松が出来る限りの事をしているつもりだ。
しかし、ココは若い。
以前の司祭のように、掃除で腰を痛めたり、指先が震えて包丁を持てないという事もない。
小松の食事はココにしか用意出来ないが、ココの身の回りの事はココが自身で行えるものだ。
ココには、小松と一緒にいる理由がそもそもない。
それでもココがいつも小松と共にいるのは、あくまでも小松を監視する為だったのだ。
小松が他の人間を襲っていないかどうか。
それは村の平和を願う神父の務めでもある。
小松に食事を与えるのも、飢えて吸血に走ればれば村人に危険が及ぶから。
血液でない体液の摂取をいろいろと提案してくれるのも、小松の為というより、小松の吸血本能をより遠ざける為の手段なのかもしれない。
小松が本来言われているような吸血鬼にならないでいれば、村人を守る事が出来る。
小松の正体を村人に話さない時点で、小松もまだ“村人”としての括りに入れてもらっている。
ただそれは、小松が本能に負けた時点で一変してしまう、危ういラインだ。
そうだった。
最初は24時間ココの元で暮らしていた。
少し目を離しても大丈夫という安心が出来たからこそ、宿屋で働いたり一泊する事も認められていただけで。
良いじゃないか。
結果的に、監視の目が更にしばらく離れても大丈夫とココが判断したという事だ。
人間として――かどうかはともかく――小松が信用されたという証のようなものだ。
「・・・わかり、ました・・・」
毎日キスだけで一時間。
キスの間は当然、他の事は何も出来ない。
当然、自由に出かける事も出来ず、その時間帯は必ず教会に居なくてはならない。
他の体液補給の時ですら、本を読んだりして忙しくしているココなのだ。
もしかしたら、忙しいココをより束縛しなくて済む。
喜んで良い事だ。
なのに、どうして心に重石を乗せられたような気分になってしまうのだろう?
「えっ、お前、良いのか?」
驚いたのは、最初に提案したトリコの方だ。
「・・・ええ」
「本当に分かって言ってんのか?セックスだぞ、セックス。相手、男だぞ?」
ビッとトリコはココを指さした。
指された事が不快なのか、その指をココは嫌そうに見る。
「そんな事は百も承知だろう」
なんせ小松は既に何度となくココの雄を咥えている。
「あ、そうか。そうだった」
あまりに意外過ぎて、トリコはそんな事すら失念していた。
トリコは小松と会ったばかりだ。
トリコの提案とココの説明にあっさり納得して了解するようには見えなかったのだが・・・
純朴そうに見えたが、意外とそうでもないのか・・・?
トリコは頭を捻りながら、ココを見た。
「それにしても意外だったのはお前もだ。まさかココが男とヤリてぇと思うとはなぁ」
詳しくは聞いていないが、ココがハンターから神父になった経緯をトリコはおぼろげながら察している。
それ以降、己の身は神に捧げたとして、人とはあまり深く関わりあいを持たないようにしてきたココだ。
もちろん、自分が問題なく田舎の村に溶け込みたいという願いはあるだろう。
だがそれは少数の人と深く付き合いたいという思いでは決してない筈だ。
むしろ広く浅く・・・いや、いっそ居るか居ないかの認識すらあやふやな状態の方が目立たなくて良いくらいに思っているかもしれない。
ココの事を話す村人たちもそうだ。
噂や話を聞く限り、容姿や上っ面の態度に対する感想はあれど、誰一人ココの本質に迫る者はいなかった。
そう―――小松意外は。
「勘違いするなよ、トリコ。愛し合う人同士ならセックスだけど、これはただの小松君の食事だよ」
「・・・!!」
ドスッ
小松に言葉の刃が突き刺さる。
ココは色恋だけでなく性欲すら関係ない、とそう告げた。
ただ小松の食事の為なのだ、と。
そこにココ個人の感情はない。
そしてその件に関しては小松を人として認めていないのだ、と。
「お前・・・」
トリコは呆れたようにココを見たが、そんな視線を受けても、ココはしれっとした表情を崩さない。
人として、神父として。
死にそうな人間を助ける。
餓えた人間に食事を与える。
そう言うことはあるだろう。
本来なら採血したものか、血液のカプセルを溶かしこんだものを飲ませていれば済む話。
いや、そもそも殺生を好まず村の平和を願うなら、早目にハンター協会に引き渡していればそれで済む話なのだ。
例え小松という村人を守る為とは言え、放っていおいて死ぬわけでもないのに、毎日己の時間を費やしてまで、己の身を差し出して人でないものに本来以外の食事をさせる意味がどこにある。
少し考えれば分かりそうなものだが、ココは自分は関係ないとでも言うかのような素知らぬ顔だ。
小松の表情が見えてない訳でもないのに。
トリコはココがまだ人との接触を避けているのだと感じた。
態度はあんなにあからさまなのに、自分では認めていないのだ。
まだ拒絶していると思っている。
―――ココの奴・・・インテリのフリして思ったよりアホだよなぁ。
「お、そうだ。おい小松!」
「・・・え?あ、わああああぁあぁぁ!!」
振り返りざま、小さな体を抱えあげた。
急な高低差に、叫びながらトリコにしがみ付く。
「なっ、何なんですかぁ!」
勢いのままに耳元で叫ばれて一瞬眉を顰めるが、さっきのようなシュンとした声よりずっと良い。
ココがトリコをじっと見ている。
どこかしら剣呑な光を湛えているのに、本人は気付いているのかどうか。
「なぁ、小松。俺とヤってみねぇ?」
ココの視線が更に強くなったが、敢えて無視。
「へ?」
頭の上にクエスチョンマークが三つか四つは見えそうなくらいの間の抜けた顔をたっぷり披露して、その後小松はかぁっと頬を染めた。
「なっ、なっ、なっ何を・・・・・!!!」
「キスでもフェラでも何でも良いぜ。何ならセックスもしてみるか」
「うええぇぇぇぇぇぇえぇ・・・・・!?」
慌てる様が見ていて面白い。
「トリコ、何考えてるの」
流石に放置出来なくなったのか、ココがトリコを窘めた。
「別に他意はねぇよ。村人に秘密だからココだけって話なら、俺だって問題はねぇだろ?それよりどうすんだ、小松?」
「ど、どうするもこうするも・・・」
「小松君」
オロオロとあらぬ方向を見て返答に困る小松が答えを出す前にココが小松に声をかけた。
ココに視線を向けると、思っている以上に冷たい視線が飛んでくる。
小松は無意識に息をのんだ。
「・・・約束、したよね?」
「・・・・は、い・・・」
それだけで、通じた。
小松は改めてトリコに向き直る。
「すみません、トリコさん。その、気持ちは嬉しいんですけど・・・」
「――そうか」
納得したようにトリコは一つ頷いた。
「ココ、何でだ?」
「って納得してないいいいいっ!?」
驚いてもじたばた暴れても、小松を抱えあげた腕は揺れる事もない。
「約束したから」
「あぁ?」
「僕の手以外からは食事をしないこと。常に僕の目の届く範囲にいること。それが小松君を生かすための条件だった」
「――それだけか?」
「・・・それだけだよ」
それだけ、と言い切った。
しかしそれは過去形だった。
毎日一緒にいるとは言え、今では小松は普通に宿屋の食堂で働いているらしい。
更に先ほどまでは、その毎日すら日を置くかのように発言していた。
いくらココの目が特別製とは言え、村の食堂まで目の届く範囲に入らないだろう。
確かに、誰にも事情を説明出来ないのでココに頼っていたのは仕方ないこと。
だが既に破棄されているも同然の約束に縛られている小松が可哀想だ。
「おい、小松。乗り換えるなら今だぞ?」
「え?」
小松は首を傾げる。
理不尽な事を言われている自覚はないらしい。
だが小松を受け入れてくれる相手さえいれば、何もココである必要はない。
小松を常に傍に置いて、定期的に食事をさせる。
更には飢えた時に血を求める小松を抑えられるくらいの力を持っていれば上出来だ。
その点においては、トリコでも問題ないと言えた。
村の力自慢・・・例えば小松の言う宿屋の主人でも当てはまるかもしれない。
小松に自分の正体を告げる勇気があればの話だが。
「小松くん、おいで」
言われて小松はおずおずとココに手を伸ばす。
トリコの腕から少々乱暴にココは小松を奪った。
小松を自分の腕に収めれば、ココの冷たい雰囲気も少しは和らぐ。
それを本人が気づいているのかどうかは分からない。
透けて見える独占欲。
「・・・苦労しそうだな、お前も」
「はぁ・・・?ええと、お気づかい、ありがとうございました」
分かっていないながらも小松はココに抱かれたまま、トリコに頭を下げた。