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あまりに進まなくてたまに自分が何書いてるか分からなくなってきたりもします。
終わらなかったらごめんなさい(コラ)
「そうだ、お腹へってないかい?」
もう日が昇って随分経った。
だが、村長に挨拶に向かう前に朝食を食べる時間くらいはあるだろう。
「もし、小松君に時間があれば、だけど」
きょとんとココを見つめた小松は、食事に誘われた事を理解し、嬉しそうにほほ笑んだ。
「ボクもお手伝いします!」
そう言ってくれた小松の言葉に甘え、朝食は二人で準備した。
昨日貰ったおかずを温めなおし、小松にはパンをトーストしてもらう。
その間、ココは簡単に卵を使ってオムレツを焼いた。
茹で卵や目玉焼きより、子供にはきっとこの方が良い。
「前の司祭がいた時も、いつもこんな風だったの?」
ちょこまかときつね色にトーストされたパンを皿に乗せ、テーブルに運んでくれている小松に問う。
「んー・・・最後の方はもう、ご飯の準備は全部ボクがしてましたね」
「へぇ、そうなの」
小さいながらに包丁や火も扱えるらしい。
危ないからと避けさせていたが、そんな必要もなかったのかもしれない。
「今度は小松くんが作った料理が食べたいな」
「お安い御用です!腕を振るいますから、今日は楽しみにしていてください!」
ニコニコと小松は請け負った。
何の気なしに言った言葉だったのだが、小松の中では既に今日にも実行する事になっているらしい。
それは今日の晩にまた来るという事だろうか。
しかしあまり暗くなってから出られるのも心配だ。
「小松君は懲りないんだね。昨晩襲われたばかりなのに」
ニコリと笑って毒を吐くココに、小松は盛大に顔を引きつらせた。
「今後は夜中の独り歩きはしない事。もちろん、村から出るなんてタブーだよ。良い?」
けれどもそれは小松を思ってのセリフ。
「はい!」
村から出なければ夜も安全と思ったが、そこは心配してくれるココに申し訳ないので、反論せず素直に答えておく。
一方のココは、誰も自分を知らないような辺鄙な場所にきて、一日目でこんなに深く人と関わり合うとは思ってもいなかった。
普段はあまり自分のテリトリーに他人が居座るのをよしとは思わないのだが・・・邪気がないせいか、小松がいるのはちっとも嫌じゃない。
まだ来たばかりで自分のテリトリーが定まっていない部分を差し引いても、小松は少し異常なくらい警戒心を抱かせなかった。
「ふふ。じゃあお言葉に甘えて、楽しみにしてるよ」
笑顔を向けると、小松もほにゃりと緊張感なく笑った。
「美味しいね」
「はい、美味しいです」
小松の言う通り、昨日貰ったおかずは、かなり味が濃い目だった。
しかしココの焼いたオムレツがそのしょっぱさを緩和し、小麦味のシンプルなパンと同時に食べるとちょうど良くなる。
そこまで計算しての事ではなかったが、小松が喜んでくれるのは、純粋に嬉しい。
それが朝食の美味しさに拍車をかけているような気がしていた。
一人で食べたなら、こんな風に美味しく思わなかったかもしれない。
前の司祭と違い身の回りの世話など必要ないが、小松が時々遊びにきてくれると良い。
そんな事を思いながら、ココははたった数時間で随分と小松を気に入ってしまったのだと感じていた。
温かい日差しが窓から差し込む晴天。
BGMは小鳥の囀り。
美味しい食事。
小松との談笑。
多少のトラブルはあったにせよ、幸先は良いように思われた。