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もうすぐスパコミというのに、ダウンを来て外に出る昨今・・・
連休は晴れてくれるといーな。
以下はココマパロの続きですー。
こんだけ書いてるけど、多分元のプロット起こしたら10行くらいじゃね?ってくらい内容が薄い事に今更気付いた。
試しに書いてみたら3行で終わって更に内容の薄さに少し悲しくなった。
いいんだ・・・目的は神父なココでココマってだけだから・・・(´・ω・`)
拍手パチパチありがとうございます。
微妙にサニコマになりきらなかったお話も文句は出てないのでそのまま放置する事にしました。
けどいついかちゃんとサニコマリベンジしたいです。
教会に戻る道すがら、小松の今後に頭を巡らす。
ひとまずは小松が姿を現さずとも不審に思われないだろうが、それも期限付きだ。
それまでに対処を決めなければならない。
殺すか、生かすか。
生かすとしたら、どのように生かすか。
これは今後の小松の変化にも寄るので一概には言えないが…少なくとも数日は観察が必要だろう。
だが、長引けば長引く程、殺しにくくなる事も自覚していた。
殺すなら決断はなるべく早い方が良い。
「あ、ココさん!お帰りなさーい」
ベッドに寝転び、メモ張に何やら落書きしていた小松が振り返る。
火傷をした左手は利き手ではなかったようだ。
「案外早かったですね」
鎖があるので起き上がれないが、迎えるつもりか、手元のメモ張を閉じる。
「…?壁に手をついてどうしたんですか?」
小松は今ココが己を殺すかどうかと真剣に検討していたとは知らないだろうが、
それにしたって自覚ある“なりたて”の、自分を拘束した者への態度ではない。
「そのメモは何なんだい」
「あぁ、これはレシピなんです」
ココから話しかけられた事に、ぱっと顔を輝かせて小松は答えた。
「レシピ?」
「はい。ボク、料理が好きなんです。もしボクが死んでしまっても、レシピが残っていれば誰かが作ってくれるかもしれないじゃないですか。何かを残したい・・・っていうのもボクの我儘かもしれませんけど、ボクの生きた証みたいなものでしょうか。自己満足ですけど」
暢気な割には死ぬ覚悟だけは本物のようだ。
「…君は僕が怖くないのかい?」
「え?どうしてですか?」
くりくりとした目でココを見上げる。
純粋に問いかけるような疑問の目。
本気で分かってないのか、気丈に分からないふりをしているだけなのか。
ただ隠す素振りも見せていないので、こうなったら聞くしかない。
小松のような人間は初めてだ。
普通はこんな事をされればココに対する恐怖心や敵愾心が勝り、ココが何を言っても聞かず会話にすらならない事が殆どだ。
小松が人間ではなくなってしまったと認識した途端に話す気が失せたものそれが理由だ。
会話をする気がない相手と会話をしようとする事ほど無駄な事はない、とココは常々そう思っている。
いや、今までの経験からそう思わずにはおれなかったと言った方が正しいだろう。
落ち着けと言ってもひたすら命乞いをしてみたり、呪ってやる殺してやると物騒な言葉を吐き続けたり。
大人しく縛られたりココの傷を心配したのもココの怒りを買いたくないと怖がっているからかとも思っていたのだが、今の態度を見る限りどうやら違うようだ。
怖がっていれば、素直に答えるか刺激をしたくないあまりに嘘をつくかのどちらかだ。
疑問に疑問で返すことはない。
今の小松は、ココが縛る前の小松と違うようには見えない。
会話が出来るくらい冷静な者であれば、会話をするのに否やはない。
しかし疑問は残ったままだ。
「僕は君を拘束してるんだよ」
さっきまで仲良く食事をしていた者に突然こんな事をされれば、態度が変わるのも無理はない筈なのに。
「だって、しょうがないです。ボク、ココさんの血に反応しちゃったんだし。その内お昼に出かけられなくなっちゃうのかなぁ…」
事実を淡々と受け入れながらも、やはり小松は何も分かっていない。
昼に出る出れないの話ではない。
「君にはしばらく僕の目の届く範囲で生活してもらう。その間は外出は勿論、この部屋を出るのも基本的に禁止。人に会うのもタブー。僕の目が離れる時は今のように動けないようにする」
それを聞いて漸く事の深刻さを理解したのか。
「それは困りますっ!ボク、仕事があるんです」
…いや、あまり理解してないかもしれない。
「知ってるよ。宿屋で働いているそうだね。そちらは村長が何とかしてくれるそうだ。君は今、毒にあてられて伏せっている事になっている。」
「あー…そうですか…えぇと、じゃあボクは何をしていれば?」
「何も。ただ誰とも会わないよう気を付けて、もし見つかっても伏せっている振りをしていれば良い」
そう言うと、ココは小松に近寄り、慎重に小松に巻かれた包帯を外した。
応急処置はしてあったが、やはり自分の切り傷に比べると酷い。
皮膚が焼かれたような跡は水ぶくれが出来て爛れていた。
まぁ、聖職者の血液が魔物にかかって、そう簡単に治癒されても困るのだが・・・
「少ししみるよ」
そう言って懐から帰りがけに森に寄って取ってきた薬草を煎じたものを取り出す。
ビクリと小松の身体が跳ねた。
顔を上げると、何やら泣きそうな顔をした小松と目があう。
「あ、あの・・・」
「なんだい」
「い、痛くしないで下さいね・・・?」
死ぬ覚悟のある者のセリフとは思えなかった。
先ほどから言動がちぐはぐで困る。
別に、大した意地悪をしたつもりもない。
しみる、とは事前に言っていた訳だし。
これが怪我や火傷に最も効果がある薬草ではあるのだし。
「っっっぎゃーーーーーーーーー!」
ィィィィン・・・
教会の外にまで響くんじゃないだろうかという大声。
超音波もかくやという音に、ココはくらくらと一瞬眩暈すら覚えた。
「・・・・あ、あのねぇ・・・・」
耳がバカになっているのか、発する自分の声すらおかしな風に響く。
殺される訳じゃないんだから…と呆れ顔をすれば、随分と子供らしい仕草が返ってきた。
「だって、だって…」
えぐえぐと涙目になっている様子を見れば、同情心も湧く。
宥める為に頭を撫でた。
これは前の司祭からもされていた、小松が安心する動作の筈。
今のココにすぐ殺すつもりがなくとも、小松自身はいつそうされるかと不安に思っていても不思議ではない。
拘束の前後で小松の態度があまりに変わらないので、つい自分もつられてしまったようだ。
「ほら、いい子だから泣き止んで。最初にしみただけで、今はもうしみないだろう?」
薬を塗った手をとり、ガーゼを当てる。
「あれ?そう言えば…」
ちゃんと認識した途端、小松の涙は引いた。
今泣いた烏がもう笑うとはこのことだと思いつつも口には出さず、包帯を巻いていく。
「はい、できた。寝ているだけだから大丈夫だとは思うけど、あまり動かさないようにね」
「えへへ…ありがとうございます、ココさん」
手当てされた手を大事そうに引き寄せ、小松は嬉しそうに笑った。
そんな様子にココの方こそ心が温まるかのようだ。
笑みすら浮かびそうになり、ココは顔を引き締めた。
絆されてはいけない。
思い切る可能性があるなら情は移すべきではない。
そんなのは当たり前の事だ。
「ドウイタシマシテ」
意識しすぎて突き放すように強ばった声が出た。
台詞自体は普段と変わらないものなのに一切の感情を削ぎ落としたような機械的な言葉は、ココ自身すらドキッとする程冷たいものだった。
小松にもそれは通じたのだろう。
一瞬呆けた顔をした小松は曖昧な笑みを浮かべた。
微妙な空気になり、会話を続けるのが難しくなる。
ココはこれで会話は終わりとばかりに無言で小松の足枷を外すと一晩過ごしたチェアーに腰を落ち着けた。
無事着任したとの手紙を教会本部に送らなくてはならない。
礼拝堂と住居スペース以外の掃除や片づけもまだ終えていないし、少し先だが五日後に控えたミサの準備もしなくてはならない。
小松の事だけに関わってはいられないのだと理由をつける。
端的に言えば、ココは逃げたのだ。
一瞬でココと小松の間に出来あがってしまった壁は、新しい司祭と村人という関係だった時にはなかったものだ。
それがどうにも歯がゆいと思ってしまう。
小松が何かいいたそうにココを見上げた。
「…何」
気配だけでそれを察し、顔も上げずに問いかける。
とりあえず小松を丸無視するつもりはないらしい。
「いえ、あの…鎖外しちゃって良かったのかなって…僕が逃げたり襲い掛かったりするかもしれないのに…」
「君が?僕を?襲う?ハッ!冗談はよしてくれ。返り討ちだよ。それでも試してみたいならやってみると良い。但し、逃げた後僕に再び捕まった時は…」
「にっ逃げません逃げませんっ!逃げませんし襲いませんっ」
ココがどんどん物騒な雰囲気を醸し出してきたので慌てて首をふる。
「そう。なら何が問題なんだい?」
「…問題ありません…」
そう答えるしかない。
どうやらココは苛立っているようだ、と検討をつける。
優しいのか拒絶されているのか分からない。
発覚した時にあっという間に取り押さえられた事を思えば、小松がココに敵う筈がないのは明白だ。
もし変貌が激しく力をつけ始めたら状況は変わる・・・というか酷くなる前にココに殺されるのかもしれないが、今現在ココにその気はなさそうだ。
チラリとココを見れば、聖書を開いて考え事をしているようだった。
余計なお世話かもしれない。
けど、ココは知らないのだから、教えたって良いのではないかと思った。
「あの・・・ココさん」
「何?」
応えるココの声は冷たくて、小松は挫けそうになる。
「司祭様が最後に聖書を朗読されたのは、福音書の20章第3節です。だから、その続きかそこに関連する所から始めるのがスムーズかと・・・」
「・・・ありがとう。参考にさせてもらうよ」
拒絶ではない返答にホッとする。
もしかしたら本当は優しいのに、無理に冷たく振舞っているだけなのかもしれない。
自分のような化物をすぐに殺さないでいてくれるのもそうだ。
小松に自分が化物になってしまった自覚があまりない。
もちろん、見知らぬ吸血鬼に血を吸われた事も、ココの血に触れただけで火傷した事も理解している。
ただ、それ以外に力が漲るとか、血を飲みたいとか、決定的な事はなにもないのだ。
変な事になっちゃったなぁ・・・
宿屋の主人にも仕事に穴を開けて迷惑をかけてしまうし、ココにもきっと迷惑だ。
着任早々こんな事になってしまい申し訳ない限りだが、今小松に出来そうな事は何もない。
ただ、待つ事。
それが小松の仕事だった。