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遅いよ!
ココ誕SSを終える前にとっくに自分の誕生日も終わっちゃったよ!
最近仕事上がれるのが一時間から二時間くらい遅くなってるんで、パソコンに向かう時間も同じだけ減ってます・・・
気づいたら11月はまだ一回もSS更新しいてなかったという・・・
ココマパロも更新しなきゃ!
以下はココ誕の続きです。
甘さ控えめ。
ココマに分類しても良いか迷う仕様です(汗)
あまり時間をかけられないので、近場であまり捕獲レベルの高くない、けれど食いでがありそうな大きな猛獣をハントする。
小松くんは勿論、トリコの家の近くには生息してない猛獣だから、トリコも喜ぶだろう。
家に帰ってくる時にはもう日は随分暮れていた。
一人暮らしの家に明かりが灯っている事は少ない。
まして暗闇でも十分に見える目を持っているから尚更だ。
けれど遠くからでも分かる人の気配とオレンジ色のライトは、何だか僕の心を和やかにさせる。
「おかえりなさい、ココさん!」
「遅かったな」
「・・・ただいま」
自分の家に戻ってきて、こんな言葉を言うのは初めてだ。
「第一弾はもうすぐ出来ますから、待っていてくださいね」
ニコリと笑顔で言うと、小松くんはキッチンへ戻って行った。
ドアを開けた時に振りかえる笑顔。
かけられる声の温かさ。
鼻をくすぐる良い匂い。
食卓に並べられた人数分のカラトリー。
そのどれもが僕の心を擽って止まない。
普段ならあり得ない、嘘のような景色。
それは一般家庭で見られるものと酷似していて、自分にはもったいないほどだ。
「おいっ!?ココ!?大丈夫かよ!?」
「・・・・?」
何故かトリコが慌てて立ちあがる。
一気に距離を詰められるが、トリコのその顔の意味が分からない。
慌てて近寄ってきた癖に、戸惑ったような、手を出しあぐねているような感じ。
一体何がしたいんだろう?
「どうかしましたか・・・?ってトリコさん!!!何苛めてるんですか!!!」
ギッと小松くんが眦を釣り上げた。
「は、はぁ!?俺じゃねーって!!」
小松くんに責められて、慌ててトリコが手を振り無罪を主張する。
それでも小松くんは顔を真っ赤にして怒りながらトリコに言い募った。
「だってココさん泣いてるじゃないですか!!」
「え・・・?」
言われて初めて己の頬に手をやれば、見慣れない液体で指先が濡れる。
成程、どうやらコレのせいでトリコは小松くんに責められているらしい。
「だから、俺じゃねーって!!オイ、ココ!何とか言えよ!」
困った様子でトリコが助けを求めてきた。
・・・良いのかな?
自分なんかがこんな事をして。
一般人のように振舞って。
そう思う罪悪感も確かに存在する。
けれど、相手が小松くんなら。
もしかしたら、許されるんじゃないかと。
心配そうに見上げてくる小松くんを、僕は膝をついて抱きしめた。
「・・・酷いんだ、トリコの奴・・・」
くすん、と涙に濡れた頬を小松くんに擦りつける。
この温かい涙に毒が混じってないのはさっき確認済み。
「ココさん・・・!」
ぎゅっと躊躇なく背中に小さな手が延ばされた。
その小さな手には、想像以上の力と温かさが籠っていて、僕の心を癒してくれる。
「ココぉ!?」
驚くトリコには小松くんの顔に隠れた場所でべぇっと舌を出してやった。
「トリコさん!今日はココさんの誕生日なんですよ!!ココさんを泣かすなんてもっての外です!ごはん抜きですよ!!」
「ひでぇっ!!」
小松くんは当然のように僕を受け入れて、僕の為に本気で怒ってくれている。
それがくすぐったくて堪らない。
くすくすと今度は笑いがこみ上げてきた。
「・・・ココさん?」
小松くんが震える肩を撫でてくれる。
「ありがとう。小松くんが庇ってくれたから、もう大丈夫」
漸く僕は顔を上げた。
名残惜しいけど、あんまりこうしてると何時まで経っても食事が出来ない。
流石にトリコも可哀想だろう。
「・・・本当ですか?」
「うん」
尚も心配そうに声をかけてきてくれる小松くんに、僕は笑顔でそう告げた。
小松くんも納得してくれたみたいで、トリコへの怒りの表情も収めて僕に笑顔をくれる。
「次苛められそうになったら、すぐボクを呼んでくださいね?」
「だから俺のせいじゃねーって!」
小松くんはトリコの反論を聞き流す事に決めたみたいだ。
・・・ちょっと、悪かったかな?
そうは思えど僕の口元は緩みっぱなしだ。
いつの間にか涙は引いていた。
けれど胸に灯った温かな気持ちは消えていない。
何だか凄いプレゼントを貰った気がする。
誕生日なんて煩わしくて外に出たくない、誰にも見つかりたくないなんて思うだけだったけど、こんな誕生日なら悪くない。
「小松ー。腹減った」
ぎゅるるるるる
口より雄弁に語る腹の虫が、小松くんをキッチンに追いやる。
全く・・・せっかく浸っていた気分が台無しじゃないか。
「すぐ準備しますから、待ってて下さい!」
「僕も手伝うよ」
小松くんの後を追って立ち上がれば、手を突っ張って断られた。
「ココさんも!誕生日なんですから、座って待っていてくださいね!」
ニッコリ笑顔だけれども、それ以上は受け付けないという意思をありありと表わされると大人しく従うしかない。
「そう・・・じゃあ、お願いしよう、かな」
そう言って座ったボクを見て、小松くんは満足そうな顔でキッチンに戻った。
自分の家で、自分以外の誰かがキッチンに立っているのはなんとも妙な気分だ。
客人が居るのに椅子に座ったまま、自分の食卓に並べられる、自分以外が作った温かい手料理を眺める。
惜しむべくは、第二段の料理を作りにすぐにキッチンに小松くんが戻ってしまった事だけれど。
「・・・何か、良いね」
「んぁ?」
食事の手を止めずにトリコが振り向いた。
明かりが灯っている家。
誰かが待つ家。
温かい料理が迎えてくれる家。
そして小松くん。
ついでにトリコ。
四天王じゃなく、占い師でもない、ただの一般人なボク。
それら全ては、今までのボクには無かったもの。
たった一人がそれら全てを与えてくれた。
誕生日とは言え、こんなに沢山貰ってしまって良いのだろうか?
「ココさーん?食べてますか?」
キッチンから料理を運んできた小松くんが声をかけてくれる。
「あんまりのんびりしてると、トリコさんに全部食べられちゃいますよ」
そう言って出来たての料理を小皿に取り分けてくれた。
「ありがとう。小松くんも無理せず休んでね」
「ボクは料理好きですし、ちょこちょこ味見していますから」
照れくさそうに言って、再びキッチンへ。
トリコの相手をしていれば何度キッチンとダイニングを往復するか知れない。
けれど苦も無く小松くんはそれを当然とばかりにやってのける。
「・・・小松が?」
「え?」
トリコを見ると視線はやはり食べ物の方。
時間差で先ほどの続きだと言う事に気づく。
僕の視線は料理だったのにそんな結論に達するという事は、つまるところ、トリコもキッチンとダイニングの往復を何度もこなす事を普通に家庭料理を提供するようにさらりと行う小松くんを大事に思っているのだろう。
この美味しくて心まで温かくなる料理を用意してくれたのは他の誰でもない小松くんだ。
取り分けられたご飯を食べる。
やっぱり小松くんの料理は美味しい。
けれど今日は輪をかけて美味しいと思ってしまう。
それは僕のお祝いの為にわざわざ作ってくれているから、だろうか?
腹以上に心がどんどん満たされるようだ。
「うん・・・すごく、良い」
今度はキッチンの方に視線を向けてそう言った。
「ココさん!」
ひょい
急に顔を出してきた小松くんに、キッチンを向いていた僕はバッチリ目が合って、ドキリと心臓が跳ねあがった。
まさか聞こえたのだろうか?
へにゃり、と小松くんが笑顔をくれる。
多少引きつりながらも何とか笑顔を返す。
ドッドッドッ
心臓だけじゃなく、体温までじわじわと高くなってきたようだ。
「今日はデザートだけじゃなく、ケーキも作ったので、最後に皆で食べましょうね!」
それだけ言うと、小松くんはまたすぐにキッチンへ戻ってしまった。
「あ、ありがとう・・・」
ホッとして胸を撫で下ろした。
まだドキドキしている。
あの少しの時間で手のひらにまでじんわりと汗をかいていた。
しっとり濡れた手を拭う。
小松くんの一言は確かに湯たんぽのように僕の心を温かくしてくれるけど、時々それは熱湯のように熱くて、火傷してしまいそうだ。
オレンジ色の温かいオーラは変わる事がないのに、どうしてこんなに心臓に悪いのか分からない。
けれどもやっぱり心の奥を擽られているようなむず痒い感じは続いていて、そわそわして落ち着かない。
なのに温かくてホッとする不思議な感じ。
この感情を何て言えば良いんだろう?
「良かったな、ココ」
トリコが顔を上げた。
食事の手を止めたかと思えば、テーブルの上に出された料理は完食したようだ。
トリコの言葉までくすぐったくて、僕は心臓を取り出して掻きむしりたくなってしまった。
こんな誕生日は知らない。
こんな日常は知らなかったんだ。
どうしよう。
こんな風に祝われたら、来年も、再来年もと期待してしまう。
「お待たせしました~」
また小松くんが料理を持ってきてくれた。
「これで最後なんで、ケーキも持ってきます。来年はサニーさんやリンさんも誘って、もっと盛大にしましょうね!」
「うん・・・」
あまり正視できず、俯きがちに答える。
料理だけじゃない、小松くんの物おじしない言葉が、遠慮のない態度が、ボクの心に火を灯す。
それはほんのりオレンジ色で暖かくもくすぐったい。
きっと、今日灯った温かさは、二人が帰ってしまっても消える事はないだろう。
それがいつか燃え盛る炎になるのかもしれない、なんて。
一般人と同等である事の幸せに浸る僕には、今は想像もつかなかった。
* * *
あれ?これトリコマ+ココの流れでもいけるんじゃない?という事に気づいて慌てて軌道修正してみました。
恋人どころか友人以上にもなれてないような。