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夏にインテにお買いものに行ってくれたお友達からまだ本が送られてきません・・・(涙)
いや、八月中は忙しくて受け取れないって断ったのは私だけどさぁ!!
しぎゃーん!待ってるよぉぉ~(切実)
以下は堂々と一日遅れのサニ誕SSです。
ちょこっと本誌ネタバレ的な内容を含むような含まないような(どっち)
四天王(-1)小松でサニコマ寄り(?)
・・・疑問符がつくくらいには祝えてない内容となっております・・・スマソ。
サニー誕生日おめでとー!
ボクは今、サニーさんの前に正座させられていた。
「…で?」
いや、触覚で持ち上げられて運ばれて、そのまま下ろされた結果だ。
「から、祝わせてやるし!」
ソファーにドカリと座って長い足を組むサニーさんは、堂々と言い放った。
あぁ、頭が痛い。
「ええと、つまり、ボクがいきなり何の了承もなしに誘拐するみたいに連れてこられたのは、まだ1週間は先のサニーさんの誕生日を祝う為って事ですか…?」
「そ」
「わぁ!それはありがとうございますー!…って言うとでも思ってんですかぁ!」
ボクは叫び声をあげると、急いで携帯を取り出した。
職場に向かう途中の唐突な出来事だったから、レストランに遅刻するって連絡しなきゃ!
それに大丈夫だとは思うけど、仕入れの確認と仕込みの指示と…あぁー今から行ったら開店時間には間に合うかな?!
事情を説明するにはやはり先に局長に報告した方が良いだろうか?
いや、でもただの遅刻で局長の手を患わせる訳には…
「あ、もしもし?副料理長ですか?!実はボク、今日遅刻し…」
とにかくボクがいない間に厨房を任せられる人に電話をしていれば、急に携帯を取り上げられた。
「あっ!ちょ、サニーさん!何するんですかっ!」
慌てて携帯に手を伸ばすも、悲しいかなサニーさんに片手を上げられるだけでボクは携帯を取り戻せない。
「松はこれから1週間ハントに行くから仕事は休むし。じゃ、な」
「ええー?!何言っちゃってんですかぁー!」
驚くボクを尻目にサニーさんは通話を切った。
サニーさんがハントに行くって行ったら危険区域に決まってる。
そんな場所に着のみ着のままで同行するほどボクは命知らずじゃない。
「って言うかボク仕事なんですけどー!?」
「さっき休むっつったし」
「いやいや、それ、サニーさんが一方的に言っただけですよね?!」
仕事もあるけど、トリコさんやココさんとハントの約束だってある。
「美肌キャビア」
「えっ」
「カリスロブスター」
「う…」
「完美牛」
「ううっ…」
「宝石肉」
「あぅっ」
味わった事のある味を思い出し、零れそうになった涎をごくりと音を慣らして飲み込む。
「もち肌もやし」
「・・・」
ここまで言われてはもう、黙るしかない。
「ど?俺のフルコース、調理してみたくね?当然カリスドラゴンの鱗酒もつけてやるし!」
ふんぞり返るサニーさんを上目使いで見上げる。
その顔はボクの返答を疑っている様子はなくて。
「…ずるいです、サニーさん…」
ぽつりと呟いた一言にサニーさんが唇をニンマリと歪めた。
それが返事の変わり。
サニーさんは本当にズルい。
ボクの都合も考えずに連れてきたくせに、あんな魅力的な食材ばかり挙げられて、調理したくならないはずがない!
しかもサニーさんが挙げたのは全てサニーさんのフルコースの食材だ。
初めて会った時に今度ご馳走してくれると言ったのを覚えてくれていた事だって凄く嬉しい。
「あっ、でもそのかわり電話連絡だけはもう一度ちゃんとさせて下さい」
お願いすれば、今度はすぐ携帯を返してくれた。
確かにあの食材を全て揃えようとすれば、一日や二日のハントじゃ無理だ。
しっかり1週間の休みを確保したボクは、一度準備の為に自分の家に帰らせて貰った。
申し訳ないけど、トリコさんとココさんと一緒にサニーさんの誕生日プレゼントを採りにハントに行く約束は断らせてもらおう。
ハントから帰った僕等を出迎えたのはトリコさんとココさんだった。
きっとずっと連絡が付かずに随分心配をかけたに違いない。
僕は大変だったけどサニーさんに守ってもらって無傷だった事も含めて詳しくハント中の事を話した。
「・・・で?小松くんはサニーのフルコースを料理しちゃったのかい!?」
「サニーの誕生日にすら連絡つかねーと思ったら!」
「すみません・・・ハントが長引いてしまって・・・」
誕生日の日には戻ってきて皆でお祝いする筈だったのに、サニーさんが今すぐ食べたいと言ったから、ハント先でサニーさんのフルコースを調理する事になった。
そんなこんなでのんびりしていれば、今はもう九月八日。
サニーさんの大切な誕生日は一日過ぎてしまっている。
二人が怒るのも無理はない。
「あっ!勿論トリコさんとココさんの分の食材は残してありますから!」
その場で調理もしたけれど、ちゃんと皆でお祝いする分だって残してあります!と主張する。
一日遅れだって、祝わないよりは良い。
けれど一日過ぎるなんて美しくないと真っ先に言い出しそうなサニーさんは、何だか機嫌が良さそうにしているだけ。
「そんな事はどうでも良いよ!」
「そーだ!お前がサニーのフルコースを調理したって事の方が重要なんだ!」
「ちょ、どうでも良いとかどういう事だし!」
ココさんとトリコさんの発言に、初めてサニーさんが眉を顰めた。
「あ、あの・・・?」
言う事が分からず首を傾げる。
「小松くんが分かってないからって、何て事をするんだ、サニー!」
ココさんが凄い剣幕でサニーさんに詰め寄っている。
「俺はフルコースを御馳走するって約束を果たしただけだし」
胸倉を掴まれながらも平然と答えるサニーさん。
ボクは何かまずい事をしちゃったんだろうか?
美食屋にとって人生をかけた大事なフルコース。
そう軽い気持ちで調理しちゃいけない食材なのかもしれない。
「すみません、ボク・・・!」
「そうだぜ!自分のフルコースを一人の料理人が調理して完成させるってのは、その美食屋と料理人がコンビを組むって事だ!」
「えっ?」
そ、それってボクが調理した事でサニーさんのコンビがボクに決まっちゃったって事!?
料理するのにそんな意味があったなんて!
けれど、そう言えば人間国宝の節乃さんのフルコースは、ノッキングマスタージローさんのフルコースを調理したものだった!
ボクの人生のフルコース・・・考えた事がなかった・・・・
「ボク、考えなしで・・・トリコさんやココさんも時々フルコースの食材を持ってきてくれたりするから、ボクいつもの感覚でつい・・・!」
「お前ら、何しちゃってんの!?俺の事言う筋合い無くね!?」
「う、うるさいな!ボクのフルコースはまだ決まってないんだ!」
「そういえば、サニーさんもまだデザートは決まってないですよね?」
完成させたら、また食べさせてやる、とは昨日サニーさんが言っていた台詞だ。
どうやらもう目星はついているらしい。
今回はその食材はなかったけど、楽しみにしておけって言われてボクは納得した。
『それだっ!!』
しかめっ面をするサニーさんに、トリコさんとココさんが叫ぶ。
「え、どれですか?」
「チッ」
喜ぶ二人に対し、サニーさんは機嫌悪そうに舌打ちする。
「サニーのフルコースは完成してない。つまりはまだ小松くんのパートナーは決まってないって事だよ」
「コンビを組むって名言している場合は別だが、この場合はまだ未決定って事で良いだろうな」
「へぇぇ~」
申し訳ないけど皆さんについて行くのが精いっぱいで、皆さんが取ってきてくれた食材を調理するのは楽しいけれど、自分のフルコースとか考えた事なんて無かった。
ボクもいずれはそんな事を考える日がくるのだろうか?
「ねぇ、小松くん。ボクのフルコースが完成したら調理してくれるかな?」
「はい、勿論・・・え?」
あ、あれ?
今の流れでいくと、つまりそれって・・・?
「おい、ココ!堂々と抜け駆けすんな!」
「そーだ!松はもう俺と先約済みなんだし!」
「そう言えば、そうですね」
デザートが決まったら調理するって話だったけど・・・でももしそれがボクの人生のフルコースって意味だとしたら・・・?
「すみません、サニーさん。デザートを調理するのは構わないんですが、フルコースを一度に全てというのは少し考えさせて頂けませんか?」
「えっ!?」
途端にサニーさんの髪がストン、と落ちてストレートになる。
「松・・・俺のフルコースを調理するのは嫌なのか・・・?」
どよ~んと分かりやすく落ち込んだ声で言われれば、流石にボクも罪悪感が湧く。
「いえ、その、嫌ではないんですけど、皆さんの言葉を聞いていると・・・」
「聞いてると、何?」
「ボク、フルコースの調理にそんな意味があるなんて今まで知らなくて。あまりに考えなしだったのかなぁ、と」
言えば”やっぱり・・・”なんてサニーさんが呟き、左右から何故か良い顔をしたトリコさんとココさんが慰めるように肩を叩いている。
「ボクはまだまだ若輩者ですから、色んな食材を見て、声を聞いて、最も納得する形で調理して・・・より美味しくなるよう努力するのが精いっぱいなんです。
知らない食材、美味しい食材、勿論沢山味わってみたいし調理してみたいです。
だからトリコさんもココさんもサニーさんの捕獲してくる食材には全て興味があります。
けれど、ボクの人生のフルコースを決めるにはまだまだ知らない事が多すぎて、とても今、一番に満足しきれる形で調理出来るとは思えないんです。
レストランの食事だって、もっとこうすれば美味しかったかもしれない、もうひと手間かければ味に深みが出たかもしれない、と毎回悩むような半人前です。
ですから、ちゃんとした返事は、ボクがサニーさんが獲ってきてくれた食材を、最高の形で調理出来ると自信を持てた時に改めて全てを調理させて頂いても良いですか?」
「松・・・」
贅沢で随分な我儘を言っていると思う。
けれど、本当に人生のフルコースにするなら、試行錯誤を重ねた上で、最高の料理を提供したい!
それが料理人としての誇りだった。
「っそ!松が美しい事言うから、それで勘弁してやるし!」
ぷいっとサニーさんがそっぽを向いた。
そんなサニーさんの服の端を持ってつんつん、と引く。
背けた顔はそのままに、チラリとだけ視線を投げかけてくれた。
「ありがとうございます、サニーさん!」
「・・・んっ」
にこりと笑顔を返せば、サニーさんは耳まで真っ赤にして返事をしてくれた。
・・・さっき以上にそっぽを向かれたけど。
四天王の一人にこんな事を言うのは何だけど、サニーさんは我儘で、偏食で、美しいものが好きな、凄く可愛い人だ。
年齢を知ってからというもの、可愛い、に拍車がかかっているような気がする。
ものすごく我儘だけど、その我儘を聞いてあげたい。
むしろもっともっと我儘を言って欲しい。
偏食は改善して欲しいけど、これはボクの腕の見せ所。
嫌いなものを美味しく食べてもらえると、普通に料理を食べて貰うよりずっと嬉しくなってしまう。
サニーさんの美的センスにはちょっとついて行けない事もあるけど、自分の大切にしている道具や出来あがった料理が美しいと評されればやはり嬉しい。
欠点すらも魅力的。
これはもう、ちょっと反則じゃないだろうか?
サニーさんが何をしても、可愛いとしか思えないだなんて。
「う~ん・・・・」
「どうかしたか、小松?」
「いえ・・・サニーさんって反則だなぁって」
ポロリと思っている事が口をついた。
「そうだね、サニーだけ約束だなんてズルイよね。ボクのフルコースも作ってくれる?」
「当然俺のも作るよな!?」
「え、えと、ど、努力します!」
そういう意味じゃないんだけど・・・二人の勢いに押されて応える。
「お前らこそズルっ!松!俺が一番最初だし!」
「はい、はい」
もうっ。我儘だなぁ。
なんて思いつつ、既にボクの顔はニヤけてしまってる。
「ま、でもこの中で一番ズルイのは小松くん、かな?」
「へっ?」
ボ、ボク!?
「そうだな」
「松だしな」
「えええええ~!?」
訳の分からない事を言われ、ボクは納得出来ずに叫んだのだった。
------誰のものにもならない、誰をも魅了する料理人!
* * *
サニ誕前後で真ん中のハント中のデートが無いとかね・・・・
サニ誕どこ行った!?なんてツッコミは受け付けません!
書いた本人が一番分かってますよぅ!(涙)