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週末に超放置プレイだった髪を染めてこようと思います。
半年くらい放置だったのですが、職場の上司に「黒良いじゃん、黒。似合うよ。」と言われその日に美容院を予約しました。
何この反骨精神。
以下はココマパロの続きです。
ヒクッヒクッとしゃっくりを繰り返しながらも、小松が次第に落ち着いてきているのを確認すると、ココは小松の手を握って歩きだした。
「さぁ、早く手を洗いに行こう」
「本当にごめんなさい」
しょぼん、と萎れたようにただでさえ小さな体を更に縮めながら言えば、ココの方からも謝られる。
「言っておかなくてすまないね。確かにあれは小松くん用の薬のつもりだったけれど、まだ調合の途中でね。
あの木の実は単体では毒なんだ。他の薬草と調合して初めて薬としての効果を発揮するものなんだよ。
治りかけとは言え、あんなのを塗ったりして手が痛むだろう?」
言われてみれば、じんわりと熱を持っているような感じはずっと続いている。
ただ、最初に感じていたピリピリは、ココに怒られた衝撃か、ただの慣れかは分からないが、ふっとんでしまったままだった。
「多分、これから熱が出る。そして全身に発疹も。食べた量はごく少量だから命の危険はないだろうけど、しばらくは辛いかも」
洗面所で小松の手を洗い、改めて調合を終えた薬で手当てを施したココは、小松をベッドに寝かせながらそう言った。
そんな危険な実だったのか。
ココがあれほど怒る理由も分かる気がする。
ココが怒ったのは、小松がココの許しなく勝手に行動したからではなく、小松を慮っての事だったのだ。
「席を外さなければ良かったな・・・」
更には己が悪かった、と反省している様子のココに、思わず小松は反論した。
「そんな事ありませんっ。僕が勝手な事をしたから・・・!」
またうるりと瞳を湿らせる小松を、安心させるように布団の上からぽんぽんと優しく叩く。
やはりココはとても優しい。
前の司祭様もそうだったが、司祭様というのは須らくこのように人間が出来ているのだろうか?
いや、人間が出来ていることが司祭となる条件なのか。
あまり何度もみっともない顔を見せたくもないので、小松は零れ落ちそうになる涙をぐっと堪えた。
周りが騒がしくなってきた。
おそらく、村人が集まってきているのだろう。
「ミサもあるからボクは行くけど、君は今日1日ずっと」
「はいっ!もう一歩も動きませんっ!村の人に見つかっても困りますしっ!ココさんがいいよって言ってくれるまでずっと寝たふりしてますっ!」
先程の事で懲りたのか、ココの言いたかっただろう言葉を全て引き継いで、小松は素直に布団を被った。
「…昼過ぎには戻るよ」
そう言うとココは礼拝堂に向かった。
小松はココがあまり家を空けないのは、自分を監視する為だと思っている。
ただ、最初こそ脅されたし、ココが外に出る時には鎖で縛り付けられるのはいつもの事なのだが、
最近はすぐに戻ってきてくれるのは、ココが小松の不憫さを案じてくれるからじゃないかと思い始めた。
ココが傍にいれば、小松は縛られない。
最初はヒヨコのようにココが何処へ移動するにも後ろに付いて行った。
すぐに隣の部屋くらいは目を離してくれるようになり、今では住居スペースは基本的に何処へ行っても良いくらいだった。
まぁ、だからと言って小松に出歩く用事はないのだが。
まだ外には出れないという制限こそあるが、目に見えて鎖に繋がれているよりはマシだ。
少し目が離れてもココ自身が対処出来る範囲ならと許容されているというより、小松に逃げる気がないのを分かっているかのようだ。
ココが無防備になるだろう風呂に入る時も、束縛されないでいるのが良い例だ。
今日だって、すぐ隣の建物である礼拝堂とは言え、今まで以上に小松から目を離す事になる。
村人が大勢来るので余計にリスクは上がるはずなのに、ココは小松を縛らなかった。
小松の反省が伝わったのだろうか?
少しずつでも自分が信用されているような気がするのは、どこかくすぐったい。
結局なんだかんだ言って、ココは冷酷になりきれないのだ。
しばらくして、おとなしく待っているだけなのに少し息が上がってきた。
身体が熱い気がする。
ココが言っていたように、熱が出てきたのだろう。
もそもそと深く布団を被りなおす。
小松が吸血鬼に血を吸われてから数日が経過しているが、腹が減らない以外に小松に特にコレといった変化はない。
相変わらず日の光が怖いとは思わないし身体能力が上がった訳でもない。
目覚める時間は少し遅くなってきてはいるが、日がな一日ベッドの上であれば夜眠るのも遅くなろうと言うものだ。
後はココの血液に反応した事。
小松の左手に巻かれた包帯だけが、視覚から小松を吸血鬼たらしめる証明だ。
しかしこれだって毎日の手当のおかげで、もうかなり治りかけている。
「…料理、したいな…」
いつもミサの時はパンを焼くのが小松の役割だった。
ここ数日はベッドで寝ているばかりで、包丁を持たないばかりかキッチンに立ってすらない。
何もしないで新しいアイデアなど浮かぶはずもなく、最初に書いていたレシピも、既にあらかた書き尽くしてしまった。
言ってみようか、ココに。
そう思うが、自分が食べないとなると食べてくれる人を探さなくてはならない。
迂闊な事を出来ない今、食べてもらえそうなのはココだけなのだが…
「食べて、くれるかな…」
熱が上がったか、意識が朦朧としてくる。
小松の看病は神父としての責務を全うしているだけで、余計な真似をしてくれるなと言われるかもしれない。
「はぁっ…」
漏れた吐息は熱のせいか悩みのせいか。
小松はそのまま意識を手放した。