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仕事を持ち帰ったくせにまだ全然手をつけてません。
明日の朝イチで提出なのに・・・・・
パソコンつけると遊びたくなるんだよぅ・・・・
以下はココマパロ14です。
毎日コツコツ、携帯で一日2000キロバイト書くのが目標です。
好きなシーンから書くから、後でつなぎ合わせるのが大変・・・
「それにしても、せっかく焼いたパンが無駄になっちゃったな」
不愉快な話はこれで終わりだ、とばかりにココが呟く。
その一言に小松は食いついた。
「あ…神の肉ですね!もしかしてココさんが焼いたんですか…?!」
教会のミサでは、祝福を受ける時に神の血肉を受け取る。
一般には市販のパンと葡萄酒なのだが、せっかく焼いたと言うのなら、ココがパンを作ったのだろう。
「そうだよ。けれど中止になっちゃったから…」
ぐぅぅ~
ココの言葉をさえぎるように音が鳴る。
ココの立てた音でなければ当然…
小松を見ると真っ赤になってお腹を押さえていた。
「…お腹、空いたの?」
「あっ、いえっ…空いたと言うか、食べ物の話をしてた条件反射と言うか…えと…」
注意深く様子を見ていたが、餓えると言う状態ではなさそうだ。
小松の言う通り条件反射なのかもしれない。
しかし人間以上の回復力を見せた小松だ。
体力を消耗して腹を空かせた可能性だってある。
「…食べるかい?」
「良いんですかっ?!」
急に目をキラキラと輝かせた小松に押されつつもココは頷いた。
うわぁ、楽しみだなぁ!などとウキウキしている。
ただココの作ったパンを食べてみるかと聞いただけなのに。
そう言えばここ数日随分と大人しかったが、最初に会った時は確かもっと良く笑ったし、騒がしいくらい喋っていたような気がする。
気を張っていたのは自分ばかりではないという事に、ココは今更気が付いた。
子供がそこまで気遣うのは、ココの本意ではない。
「じゃあ食事にしよう」
ココは吸血鬼になった小松を初めて食事に誘った。
沢山作りすぎたパンはココ一人では腐らせてしまう。
栄養にはならずとも、楽しく食べてくれる相手がいるなら、そちらの方が良いだろう。
「じゃあ準備をしてくるから…」
待っていてと言い掛けて、思い直す。
病み上がりにどうかとも思ったが、小松ならこちらの方が喜ぶかもしれない。
「準備をするから、手伝ってくれるかい?」
「っ…はいっ!!」
ほら、思った通り。
一瞬虚をつかれたような顔をした小松は、言われた内容を把握するなり破顔した。
勢い良くベッドから降りようとするあまり、シーツに足を引っ掛けて転げ落ちそうになっていたくらいだ。
ココが支えなければ、頭から落ちていたかもしれない。
「ココさん、ココさん、何を作りますか?!ココさんの好きなものって何ですか?」
お礼もそこそこに興奮気味に尋ねる。
自分でレシピを書いていたくらいだ。
作りたいものがあるのかもしれない。
「もう夜遅いから買い物にも行けないし、あるもので作れば良いんじゃないかな。小松くんは何を作りたいんだい?」
何を食べたいのか、とは聞かなかった。
本当に食欲があるかどうか分からなかったからだ。
小松はキッチンに立つとざっと周囲を見回した。
「んー…パンがあるから、あっさりコンソメスープかトマトをたっぷり使ったミネストローネのスープを作ろうかな…」
どうやら野菜中心のスープを考えているようだ。
「それだけだと寂しいな…何か…」
キョロキョロと何かを探していたようだが、やがて目当てを見つけたようだ。
視線が一点に集中する。
「ココさんっ!あれっ」
「使いたいなら使って良いよ?」
小松の態度があまりに分かりやすい為、聞かれる前に答えた。
ココは基本菜食が多い。
規律としては別に決められた日以外には肉食をしても構わないので、純粋に好みの問題だ。
あまり肉類を多く食べない為、大抵は保存が効くようにしてしまう。
スープとパンだけでは寂しいとメインになりそうなものが欲しかったのだろう。
小松の目線の先にある干し肉を手にとって渡せば、小松の目は一層輝きを増した。
「本当に良いんですか…?!」
干し肉を受け取る小松の手はブルブルと震えている。
「構わないよ。晩ご飯を作ってくれるんだろう?」
どうせココの胃に入るものだ。
遠慮をする必要などないと促す。
「うわー!ありがとうございます!ボク、倍ソンを調理するのなんて初めてですっ!」
感激しているのか涙まで浮かんでいる。
「え、そ、そう?」
まずい事をしたか?とココは戸惑った。
特徴ある蹄がついているとは言え、まさか四肢の一部分だけで食材を見抜かれるとは思っていなかった。
小松の口調は質問ではなく断定的だ。
「そうですよっ!だって捕獲レベル5ですよ、5!!
倍ソンってただでさえハンターが10人以上で協力して捕獲するレベルの猛獣なのに、怒らせたら倍増し倍増しで更に強くなっちゃうんですよ!?
そんな稀少食材、行商人が来ても、ボクのお小遣いじゃとても買えませんもんっ!」
「詳しいんだね、小松くん」
「数年前に村の東の森に巣を作っているのが分かってから、東の森は立ち入り禁止になったんで調べた事があるんです!
だってそうでしょう?
村ではそんな沢山ハンターを雇う財力はないですし、かと言って村に入ってくることはないから、怒らせないようにしておけば問題になる事はないって」
なるほど、財力のない村ではそういった問題は放っておかれるのかもしれない。
事なかれ主義かもしれないが、村や旅人に被害が出てないならそれで構わないのだろう。
実際、猛獣被害でハンターを雇うのに政府の補助が出るのは、村にある程度以上の被害がある場合に限られている。
東の森に続く村境の結界だけがやけに強力なのも、このせいか・・・?
「はぁ~・・・ココさんってお金持ちなんですねぇ・・・しかも気前がいい・・・」
感心したように小松が呟いた。
「はは・・・」
まさか自分で狩りました、とは言えずココは言葉を濁した。
しかも怒らせれば怒らせる程捕獲も難しくなるが、その方が肉が美味になるので、わざと限界近くまでレベルを上げさせただなんて。
・・・だって、普通に狩った肉は硬くてあまり美味くないのだ。
牛や豚を食した方が美味いくらいだから、被害がなければ捨て置かれるのも無理はない。
ココも自分が食べるのであれば、例え保存食にするとしても少しは美味しく頂きたい。
だが確かに明らかに神父が狩るような猛獣ではない。
というか普通神父は猛獣を狩らない。
この村に来る直前、偶然遭遇したのでちょうど良いと狩って、食べきれない分は保存用にしておいたものだ。
教会は迷える子羊に手を差し伸べるものであるから、保存のきく食糧はあっても損はない。
そんな気軽な気持ちであったが、一般的には不審な点が多すぎて、ココは少し冷や汗を垂らす事になった。
知ったのがそういう細かい事に気づかない子供であって助かる。
自分のような捻くれた大人なら、そんな素直に聞き流せてはいまい。
「・・・ん?東の森は立ち入り禁止?」
ギクリ、と小松は肩を強張らせた。
ココは知らなかったから、普通に東の森から来て今も出入りしているのだが。
そして結果的には猛獣退治をして村の助けにもなった事にもなるのだが。
「小松、くん?」
「あはは・・・」
へらり、と愛想笑い。
そんな分かりやすい誤魔化しを、気軽に流してしまえるココではない。
「どういう事かな?」
出会った時はココの事を心配するあまり禁を犯したのかもしれないが、明らかに先ほどの口調に初犯の緊張感がなかった。
「えと、えと。その、東の森って、キノコとか木の実とか食材が豊富なんですよ!」
それはココも知っている。
小松に毎朝塗る薬草もそこで採取しているくらいだ。
だが、確かに東の森で村人に会う事はなかった。
村の最東端に教会が位置するという事もあるだろうが、あれだけ食材が豊富なら、誰かしら取りに行く者がいてもおかしくない筈なのに。
「その、僕、結構運が良いみたいで。今まで会った事ないんですよねぇ~。
あっ!もちろんそんな遠くには行ってないですし!ちょっとくらいなら良いかなって・・・」
えへ。
小首を傾げる。
「・・・全く。それでもっとタチの悪いモンスターに襲われてたら世話はないよね」
倍ソンには会わなかったが吸血鬼には会うなんて、とんだ災難だ。
「・・・す、すみません・・・」
今現在迷惑をかけていると自覚のある小松にはキツい言葉だろう。
まぁ今更どうなる訳でもないし、ココなどは知らなかったとは言え毎日禁を破っていた事になるので人の事は言えない。
ココはそれを聞いた後でも止める気などないのだから。
そして今現在、倍ソンはいないのである意味禁など意味はないのだが。
だがそれは村人は知らない方が良いだろう。
吸血鬼が出た森と認識するより、倍ソンが出るので危険と認識している方が精神的に楽だ。
「反省しているなら、良いよ。さぁ、晩御飯を作ろうか」
せっかく小松も少し元気になったのだ。
適度は反省は必要だが、あまり苛めるのも可哀想だ、とココは話を切り上げた。
「あっ、あのっ!」
「うん?」
「も、もし良かったら、僕一人に作らせてくれませんか・・・!?」
「君一人で?」
「はいっ・・・」
小松は伺うようにココを見た。
「キッチンにある食材で作りますから変なものは入れないですし、使っちゃいけいないものは言ってもらえれば使ったりしませんっ!」
「いや、別に何を使ってもらっても構わないんだけど・・・」
別に小松が何か料理に細工したりするとは思っているワケではないのだが、調理した事もない肉を扱ったりするのは一人では難しいと思うのだが…
心配が顔に出たのかもしれない。
「ボク、美味しく出来るように頑張りますっ!ココさんの口に合うかどうかは分かりませんが、司祭さまのご飯もよく一人で作ってましたしっ!
キッチンにある道具や調味料もだいたい分かりますしっ!使って良いって言って頂いたこれも無駄にはしませんっ!」
懸命に言い募る小松にほだされた、と言うのが正しいかもしれない。
どうしてそこまで必死になっているのかココには理解出来なかったが、今までそんな風に小松に主張された事がなかったので、好きにやらせてみようと決める。
「・・・分かった、じゃあお願いしようかな」
パッと小松の表情が華やいだ。
「ただし、何かあったらすぐ報告にくる事。いいね?」
そう言い置くとココはキッチンを出た。
隣の部屋にいても小松の気配は追える。
小松の声は大きいから、隣の部屋くらいなら声も聞こえるだろう。
ここ最近手持ちぶさたでやる事がなかったというのもあるかもしれない。
「よーし、やるぞー!」と言う気合いの入った声が聞こえ、クスリと笑みを溢した。
すぐ対応出来る範囲ではあるが、目を離しても聞こえてくるのは鼻歌ばかり。
今は余程料理するのが楽しいのだろう。
悪巧みするどころか悲しむ様子もない。
こちらが意識せずともキッチンでここにいると存在感を撒き散らしているくらいだ。
今日のミサのように騒がしくされるのは好きではないが、隣の部屋から誰かの楽しそうな歌が聞こえてくる。
そんな騒がしさは悪くない。
ちゃんと火を扱えるのだろうか?
包丁で指を切ったりしていないだろうか?
ただ待っていると心配ばかりしてしまうが、小松は1人でやりたそうだったし、あまり構いすぎるのも嫌かもしれない。
楽しそうな気配をさせている限り、怪我などの心配はないだろう。
もう少し目を離しても大丈夫だろうか。
例えば。
まだ様子見の時期だから本当に例えばの話ではあるが、今のように小松が変わらず人間らしくいられるのであれば、村での生活も可能ではないだろうか。
数日経ってなにか変化があるどころか、まんま普通の子供だ。
夜も夜で行動が活発になるような事もなく、多少寝つきが悪い事もあるが、一度寝てしまえば静かなものだ。
熱が早く引いたのが変化と言えば変化。
あと一つ。
食事をずっとしていない。
人間であれば既に動けなくなっていても不思議はないくらいの日数は経っている。
吸血鬼になっていても一生飲まず食わずという訳にはいかない。
燃費の良し悪しはあるが、冬眠する間食べない動物もその前後はいつも以上に食べる。
小松はこの数日食事していない。
このまま、という訳にはいかないのだ。
テーブルの上に置いたものを見る。
今日、調達できたものだ。
パンより薬草より効果的だろうそれ。
その時がくればその時と思ってはいたが、使える時には使っておくべきかもしれない。
わりと早く使う時がくるだろう、とココは思った。