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書きたい時に、書きたいものを、書きたいだけ。 そんなココマ中心・小松受トリコブログ
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ちょっと流石に日曜のアレでトリコマはないだろ・・・とリベンジトリコマ。
今回はちゃんとトリ→コマだから!ココは友達ポジだから!
でもこれ、全然今日の記念じゃなくね!?
という思いもなくはないので、夜までまた考えてみます・・・うーん・・・

 


バキィッ!
そう音がしたのと、ココが椅子から転がり落ちたのはほぼ同時。
ココや椅子が倒れる音や何やらが散乱して、テーブルを蹴ったココの足がガシャッとその上のティーカップを鳴らした。

虚を突かれたのか、ココは完全に無防備だったらしい。
トリコもまさか素直にココが拳を受けるとは思っていなかったので、茫然とそんな様子を見てしまった。

「・・・なんでだ?」
トリコは己の拳に視線を落とす。

殴られた頬を抑えたココが、上半身だけ起こしてトリコを睨む。
その頬は未だジンジンと痛みを訴えていた。

「それを聞きたいのは僕の方だ」
人を殴っておいてその反応はない。

しばらく考えていた様子のトリコの返答は、最悪のものだった。
「いや、何かお前、笑顔だったから・・・」
「何だそれ。僕が笑顔だったらお前は僕を殴るのか!」
流石に憤慨して立ち上がる。
ココに胸倉を掴まれても、トリコはココを見ていなかった。

 

数年間会ってなかったトリコとココ。
しかしフグ鯨のハントを切っ掛けに二人の関係は変わった。

トリコはちょくちょくココの元を訪れるようになり、ココもそれを表面上は嫌な顔をしながらも受け入れる。
たわいもない雑談をして、食糧を食い漁って、時折ハントに出て。
何の問題もない筈だった。

ただ一つ。
トリコの胸をざわつかせるもの。
前と同じように嘘偽りない心を向けられない時がある。

最初は気のせいだと思っていた。
でも会えば会う程、喋れば喋る程その不快感は増した。
今日だってそうだ。

「え?小松、お前の家に来たの?」
「ああ、うん。三日前だったかな。一緒にお茶しただけなんだけどね」

一緒にお茶をしただけ。
気軽に言ってくれるものだ。
トリコは小松とそんな事をした覚えは一度もない。

「お茶って・・・何か珍しいモンでも手に入れたのか?」
「いいや?それだったらお前にも声をかけるよ。好きだろ、そういうの」
「ああ・・・・」

確かに好きだ。
新種や珍しいものを発見したなら、何で俺も誘わなかったんだ、と文句の一つも言えただろう。
けれどそうではないと言われればその余地もなくなってしまい、トリコは口をついて出そうになる言葉を苦々しく飲み込んだ。

飲み込んだ分だけモヤモヤが胸の内に溜まる。
いや、中で増殖していっているようだ。

ココを嫌いではない。
嫌いではない筈なのに、何だか嫌な感情が胸を渦巻く。

ただの偶然の成り行きで。
一度お前の店の料理を食ってみたいから。
ハントに行くから。
俺のフルコースが決まったから。
珍しいものが食えるから。

様々な理由でトリコは小松に会ったが、ただちょっとお茶をしましょうなんて理由にもならない理由でトリコは小松に会ったことがない。
当然ながら、小松に誘われた事もない。
虹の実をハントした時が誘われたと言えば誘われたと言う事になるのだろうか?

それより何時の間に連絡先を交換したのか。
それすらもトリコは知らなかった。
あまつ、個人的に家を行き来する仲だったなど。

自分の昔馴染みと自分が知り合った料理人が、自分の預かり知らぬところで親交を深めているのを知るのが、こんなにも嫌な気持ちになるのだとは知らなかった。
別にココも小松も自分のものではないのだ。
誰が何処で誰と仲良くなろうが自分には関係ないのに。

だから、別に何でもない事、の筈だった。

「なぁ、ココ。お前、小松の事好きなの?」
「好きだよ」

ふわり、と。
愛しいものを脳裏に思い浮かべているのか、とても良い笑顔をしたココがそう告げて。
言い終わるかどうかという内に無意識に手が出ていた。

頬骨が拳にあたる感触。
椅子から転げ落ちるココ。
そこでようやくトリコ自身がココに手を挙げた事に気付いたくらいだ。

呆然とするトリコに、ココは怒りの形相で胸倉を掴んできている。
当然だ。
自分だって何の理由もなく殴られればムカつく。

流石にこれはちゃんと説明しないとマズイだろう。
別にトリコはココを嫌いではない。

ココが笑顔だったら殴る?
「いや、そういう訳じゃなくて・・・」
トリコはココに幸せになって欲しいと思っている。
それは事実だ。

「じゃあ何だ!」
ココの頬は殴られて赤くなってしまっている。

「だから!笑顔のお前がムカついたんだ」
「さっきの言葉と何が違うんだよ!」
呆れたように言うと、ココはトリコを解放した。
いや、そっぽを向いてしまったから本気で呆れたのかもしれない。

「違う!お前がイイ顔するのは悪い事じゃない!・・・と思う・・・うん」
自分に言い聞かせるようにトリコは呟いた。
自分の胸に聞いてみても、確かに嘘はない。
さっきと違って嫌な感じもしない。

「もう良い・・・ヒントをやる」
額に手を当てため息をつくココは言いだした。
「はぁ?」
トリコの知らない答えをココはどうして知っているのか。

「トリコ・・・・僕はお前の事が好きだよ」
「ああ・・・?そりゃ、さんきゅ」
いくら昔馴染みとは言え、殴られたばかりの相手にそう言えるなんて、なかなかない。
相変わらず出来の良い奴だ。

「・・・・それだけ?」
お前が思った事はそれだけか、とココは言ってくる。
「は?なんだ?ああ・・・さっきは殴って悪かったよ」
検討違いな答えに眉を顰める。
「本当にな。一般人なら死んでるぞ」
そう言うとココは頬を擦った。

「僕はサニーの事も好きだよ」
「へぇ」
「お前・・・ちょっとは考えろ」
軽く流したトリコが不満のようだ。
ココはため息をついた。

別に考えなくたって分かる。
同じ環境で育った仲間なのだ。
トリコもココやサニーが嫌いじゃない。

何だろう?
俺も好きだとかそんな返答を期待したのだろうか?
想像してちょっと気持ち悪くなった。

「ココ・・・お前、大丈夫か?」
「・・・こっちが聞きたいくらいだ。お前がそこまで察しが悪いとは思わなかった」
そう言ってココは多少身構えた。
心なし距離を取られたようで、トリコは益々疑問に思う。

「最後だ。僕は小松くんが好きだ」
「っ!」
ぶわっ
一瞬にして膨れ上がった殺気は、次の瞬間には霧散している。

ア゛ー!
家の外でキッスがトリコの威嚇に身体を膨らませ鳴いたのが名残だろうか。
「大丈夫だよ、キッス」
窓からココが顔を出してキッスを宥めている。

明らかに他と違う反応。
胸がモヤモヤするなんてレベルじゃない。

茫然とトリコは突っ立っている。
「それで?いい加減分かったんだろうな?」
窓際から振り返ってココは言った。

「あ・・・あぁ・・・・」
自覚するより先に身体の方が反応していただなんて、鈍すぎる。

自分は小松が好きなのだ。
ココに・・・いや、他人に取られたくない特別な意味で。
そう気づけばやることは一つ。
思い立ったが吉日なのが信条なのだから。

「お前・・・良いのかよ?」
自分の気持ちに気付かせてくれたココ。
しかしココは小松を好きだと言った。

「何が?」
「だから、俺が小松を自分のモノにしちまっても・・・」
「なにその前提。大体自覚したばかりでまだちゃんとモノに出来るかどうかも分からないじゃないか」
「出来る」
トリコは言いきる。

今までだってやってやれない事はなかった。
大体にしてトリコに自覚がなかっただけで、小松はそういう意味でなくてもトリコを好きだろうというくらいの自惚れはある。
こっちが真剣になって押せばオトせるんじゃないかと思うくらいには。

「じゃあ僕はお前を応援してやるよ」
何の気負いや衒いもなくココはそう言った。
「良いのか。俺は遠慮しねぇぞ」

もうトリコは小松をオトすと決めた。
決めたからには躊躇はない。
けれどココは自分をけしかけてそれで良いのだろうか?

「何だそれ気持ち悪い」
「・・・分かった」
ココがそのつもりならもう何も言うまい。

「勘違いしているようだが、トリコ。僕と小松くんは友達だよ。それ以上でもそれ以下でもない・・・あぁ、いや、親友にならなってみたいかな」
「友達・・・?」
あの態度が、か?と訝しむ。
「勿論、小松くんの事は好きだよ。本心だ。けど僕は小松くんとどうにかなりたい訳じゃない。一人占めしたい訳じゃない。ただ仲良くしたいだけなんだ」

ココの友情は分かりにくい。
トリコはココの小松に対する態度を友情とは受け取ってなかった。
今だってちょっとした出来事でその友愛が恋愛に変わってしまうんじゃないかというくらいには危惧している。
例えば、トリコが小松を狙う、とか。
しかし本当に恋愛であるなら、ライバルにそうやすやすと塩を送らない筈だとも思う。

「まぁ友達なんて今までいなかったんだしな・・・」
誰も訪れる事のない家でずっと一人で暮らしていた。

グルメフォーチュンで占いを始めたのも、IGOの監視の目を弱める手段に過ぎない事をトリコは知っている。
トリコだって最初には電波が届かないくらい遠くにハントに出かける理由の一つだったくらいだ。

一人で家に籠っていると、ココの近況を把握できない為IGOからの監視や連絡がうっとおしいくらいに入るのだ。
一応その道のプロを雇って監視対象に気付かれないようにしているのだろうが、四天王にとってはそんなものは逆に警戒心を強めるだけのものでしかない。
下手に隠された気配を感じれば、精神的にも疲れてしまう。

だが、一般人に交じって仕事をしていればある程度の近況は分かる為、ココの家や個人への監視は幾分緩まる。
要は一般人に迷惑をかけるでも、環境を破壊するでもない。
何事も問題なく過ごしているという事があちらに伝われば良いのだ。
間接的に伝わってくれるのであれば、それに越した事はない。
自分たちが姿を晦ます事の方があちらにとっては一大事なのだから。

「何か言った?」
「いや、何でもねぇ」
聞こえてはいたが、ココは素直にトリコに誤魔化されてやる事にする。

自分達は監視されている。
それが日常になって慣れてしまっていたとしても、決して気分の良いものではない。

けれど小松はそんなささくれ立った気持ちをあっという間に塗り替えてしまった。
そしてそれは予想外の効果も生み出す。

小松に会いに行くという事は、IGOの役職者の目の届く場所に自ら赴くという事。
更に友好を深めた小松に聞けば、トリコやココの近況が簡単に分かる。
ココは特に小松に自分の話を周りにする事を禁じていない。
小松から上層部へとココの様子は筒抜けなのだろう。
下手にプロを雇って無駄な金を使う事も監視対象の神経をすり減らす事もない。

最近、ココは鬱陶しい監視の目を感じた事がない。
監視を緩めたのではなく、監視を止めたのだと理解するまで時間はかからなかった。
それは勿論、ココが小松と友好な関係を続けている限り、という前提があるのだろうが。

「僕の気持ちはお前とは違うんだ、トリコ」
噛んで含めるように言うココにほっとする。
トリコはココも嫌いじゃない。
嫌いじゃないのに争わなければいけないのは、出来れば遠慮したい。
「そっか!」
トリコもようやくスッキリした気がする。

「それに知ってるかい、トリコ」
「ん?」
「恋人は別れる可能性があるけど、一度出来た友達は一生ものだから」
トリコ以上に良い笑顔でココは笑って見せた。

「おい!」
心臓に悪い事を言ってくれる。
「俺は小松を恋人って意味じゃなくパートナーって意味でも狙ってるからな!そっちは一生ものだろうがっ!」
負けじとトリコも反発する。
「そうなると良いねぇ」
余裕で告げるココ。

「・・・友達だって喧嘩するだろうが」
「それ、パートナーだって同じだろ。いや、恋人同士が別れたのに美食屋と料理人としてのパートナーの関係だけ続くって方が珍しいかな?」
悔しくなって言えば、それ以上の反撃。
ココを言い負かそうとする事自体が既に間違いだと改めて認識するのは、少し遅かったようだ。

「なんで別れる事前提で話してんだよ!」
「逆を言えば付き合う事前提で話してるよ、トリコ。嬉しいだろう?」
「いや、微妙・・・・」
トリコは眉を顰めた。
これは付き合う事になっても気を抜けそうにない。

本当に心から応援してくれているのか、疑問に思うくらいだ。
「応援しているよ、本当に」
そんな気持ちを読んだように告げるココ。

「まぁ、喧嘩しても別れるつもりなんかねーけどな!」
「それは付き合う事になってから言ってくれる?」
「すぐだ。すぐ報告に来てやる」
にやりとトリコは人の悪い顔をした。
捕食者の顔。
失敗した時の事など考えていない。

その自信は何処から来るのか。
だがあながち間違ってはいない事はココも知っている。

トリコは知っているだろうか?
小松との会話はほとんどトリコの事ばかりだ。
トリコとのハント、トリコへの料理、トリコとあれをした、これをした・・・・
共通の友人がトリコだったから当然とは言え、ココは小松の電磁波を嫌という程見ている。

ココがトリコの昔の話をしてやる事もある。
勿論、言える事は限られているのだけれど。
それで小松が幸せそうにしていればココも心が癒される。

トリコと小松が上手く行かなければ、ココと小松の関係だってきっと上手くいかないに違いないのだ。
だからココは応援する。
トリコを。
小松を。

この先どうなるかなんてもう分かり切った事ではあるけれど。
それでも願わずにはいられない。

「待ってるよ。その時は二人でおいで、歓迎するから」
いつでも、いくらでも二人の話を聞いてあげるから。
もっと幸せな君を僕に見せて。

「え、俺一人じゃ歓迎されねーの!?」
「どうかな。少なくとも僕の心が癒されない事は確かだね」
「えええ・・・・」

胡乱な眼で見てくる昔馴染みはやはり少し訝しげだ。
まだココが小松を恋愛の意味で好きなのではないかと疑っているのだろう。

「まぁ、多いに疑うと良いよ」
くすくすとココは笑った。

嫉妬しないでも良い相手にまで嫉妬してしまう。
それが恋愛の醍醐味でもあるからして。
そしてココを気遣うその言葉が、トリコの優しさだとも分かっているから。
そう考えれば何気にトリコにも癒されている部分はあるのかもしれない。

「まぁ俺もココが笑ってるなら良いって事にしておく」
トリコが納得したようにそう告げた。

ウッカリ本心からの笑顔を見せたのが、トリコを安心させる要因になったのだろう。
「そうしろ。もしお前の思ってる事が本当になるとしたら、僕も行動に移す前にちゃんと宣戦布告はするから安心して良いさ」
にっこりと人の悪い笑みを浮かべて応える。

それにトリコは盛大に顔を歪ませた。
「やっぱり安心出来ねーーー!」
ぐしゃぐしゃと自分の髪をかきまわす。

これくらいの事は許して欲しい。
友人をからかうのも友人の特権なのだ。
ちゃんと二人がくっついたのなら、もっと堂々とからかう事も出来るだろう。

「ははは」
「笑ってんじゃねー!」

そう言うトリコの顔も笑っている。
ちょっと微妙ではあるけれど。
なんだかんだ言っても、ココはトリコも小松も同じように好きなのだ。

結局もしトリコ一人で来ても、ココは歓迎するのだろう。
トリコと二人、小松と二人。
それも楽しいけど、トリコと小松との三人でお茶を飲む日を楽しみに。
とりあえず今はトリコの為に料理を用意する事にしたのだった。



*  *  *

・・・そもそもトリコマを書こうとしてるのにココから入るのが間違いじゃない?
 

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プロフィール
HN:
波竹 きみる
HP:
性別:
非公開
自己紹介:
年齢 :トリコより上
身長 :小松より下
性別 :リンと同じ
星座 :ココと同じ
血液型:サニーと同じ
視力 :ゼブラと同じ
足のサイズ:節乃と同じ

トリコより上で小松より下って何か凄くね?と独りでテンション上げてる可哀そうな大人
カウンター
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