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てかココさえ排除しちゃえば、トリコマは書き放題なんじゃないかとチラッと思いました。
・・・でもやっぱりトリ誕ではないですけども!
以下の話はWJネタバレ注意です。
「トリコさんっ!!」
あれから約8か月。
トリコの腕が完治したとの連絡を受けた小松は、スープ作りを中断してトリコに会いに行った。
------次会うのはトリコさんの腕が治って、僕がセンチュリースープをごちそうする時ですね!
そう言ったのが随分昔に思える。
小松はこう言っては何だが、ナメていた。
もっと早く完成に漕ぎ着けると思っていたスープは、予想以上に手間取って、現在に至る。
今まで、お互い一切連絡を取らなかった。
少し悔しい事に、小松がスープを作り上げる前にトリコの腕は完治した訳だが、そんな競争に負けた所で小松の嬉しさは変わらない。
なんせ、ふっ飛んだと言ったトリコの腕が治ったのだ。
「おー小松ぅ!」
笑顔で左手を振るトリコ。
腕があるだけでなく、ちゃんと動いている。
「トリコさぁぁぁぁ~ん!!」
両手を広げて走っていけば、トリコは少し屈んで小松を受け入れた。
ドッ!
勢いをつけてトリコの胸に飛び込んでも、トリコの身体は傾ぐ事もない。
「良かったです~~~!」
しっかりと受け止めてくれる事に安心し、小松はトリコに腕を伸ばした。
「・・・・あれ?」
肉厚な肩、首筋。
疑問に思って身体を離せば、確かにトリコはトリコなのだが・・・
「もしかしてトリコさん、髪切りました?」
短い。
腕を首筋に回して、髪の毛に触れないくらい。
抱きついた時の違和感はそれだったのだと自覚する。
「おう。つーか与作に切られた。腕を再生するのに必要だったんだ」
「そうなんですか・・・短いトリコさんも格好良いですっ!」
何の躊躇もなくそう言ってのける小松に、逆にトリコの方がうっと詰まる。
似合わないと言われる事はないだろうとは思っていたが、そう手放しで言われるのも照れるものだ。
あまり柄ではないのだが・・・とトリコは頬を掻いた。
「まぁ入れよ」
待ちきれなくてスイーツハウスの入り口で待っていたのが既に柄ではない事に気づかないトリコだった。
いつものように、小松が料理を作り、トリコが平らげる。
「はぁ~良いよな、こういうの」
積み上がった皿を眺めながら、のんびりと葉巻木を燻らす。
「どういうのですか?」
ざっと鍋や調理器具だけ洗った小松がちょこん、とトリコの横に腰かけた。
「ん?あぁ・・・こう、上手いモン食って、一服して、腕ん中に好きな奴が居るってのが幸せだな~っと・・・」
「へ?」
およそトリコから聞ける筈もないだろう台詞に小松は虚を突かれたように目を丸々と見開いた。
「・・・あ、いや、その、腕治す時は一服する暇なんかなくひたすら食い続けたから、ゆっくり出来るってのが良いな、とだな・・・」
焦って言い訳するような仕草が、逆にさっきの台詞が真実なんだと実感させる。
トリコの耳がほんのりと赤い。
「トリコさんっ!!」
「おっ」
感極まって思わずぎゅっと抱きついた。
いくら恋人同士とは言え、トリコも小松もどちらかと言えばそんな事を口にするタイプではない。
「好きです!」「おー、俺もだ。んじゃ、付き合ってみっか」
なんて冗談のように始まった関係だったのだ。
ともすると小松は本当に付き合っているのだろうか、と不安になる。
恋人同士・・・である筈なのに半年以上も会うどころか音信不通では、相手に自然消滅と取られても文句も言えない。
そんな中、今までのように接してくれているだけでも奇跡のようなのに、トリコはずっと小松を思ってくれていたのだと思うと、これが感動せずにいられようか!
ロマンティックな言葉を囁いて、雰囲気を作って・・・なんて事は柄じゃない。
柄じゃないけど、伝えたくて仕方がない。
「僕、トリコさんの事、大好きですっ!!」
ぎゅうぎゅう小松の精一杯の力で抱きしめて、気持ちを伝える。
「はは・・・ヒデェ顔」
トリコの腹に埋められた顔を無理やり持ち上げて一しきり笑うと、トリコは小松に唇を落とした。
久しぶりに会った恋人。
しかも八カ月ぶりの再会。
その間も冷めることなく、お互いの事を思っていた。
そうなればもう、キスの次に行われる事なんて聞くまでもない・・・筈、だったのだが。
キスを終えたトリコはそのまま小松を離してしまった。
「んで、小松。お前のスープはどうなんだ?」
「うぐっ・・・その・・・それが、まだ・・・」
痛いところを突かれ、もごもごと口ごもる。
恋人の空気を一転させる台詞だが、自分が成すべき事を成し遂げていないのだから仕方ない。
小松のスープ作りはまだこれからなのだ。
それに、トリコとて20年かかると言われた腕を1年とかからず再生させたのだ。
きっとゆっくり楽しく取る食事に飢えているのだろう。
もしかしたらまだ身体も全快ではないのかもしれない。
そう思えば早く完成したスープを飲んで回復して貰いたい。
小松は改めて闘志を燃やした。
「もう少しだけ待っていて下さい!必ず近いうちに完成させますから!」
トリコと会えた。
元気そうな顔を見れた。
今の自分には、それだけで十分。
けれど、スープが完成したその時には。
口には出せないけれど、小松は心の中でその時こそスープと一緒にトリコに食べられちゃおう!と決めたのだった。
* * *
一方トリコはスープ作りの為に慌ただしくホテルに戻っていく小松を見送る。
スイーツハウスから小松の小さな影が見えなくなって、トリコははぁ~・・・っとため息をつきながらしゃがみ込んだ。
「頑張った・・・俺」
本当なら、あの場で直ぐ押し倒して服を脱がせてコトに及んでしまいたかった。
けれどそう出来ない理由がある。
腕の再生に全力を注いでいた為、トリコの他の部分の成長は8か月前から止まったままだった。
髪が未だ短いのもそのせいだ。
そして。
「・・・早く生えそろってくれよ、俺の毛・・・」
自分の股間を覗きながら、小松がスープを作ってくれたその時こそ!とトリコは新たな決意に身を焦がすのだった・・・
* * *
サニコマでやったからもう良いかと思ってたけど、本誌で出たからにはやらずにいられませんでした・・・
お互い、20年を1年くらいに縮められたら良いなと思います。